のど飴戦士アイバチャンSeason9 【第9話】






これはフィクションです。
登場する人物、場所、団体等は実際のものとは一切関係ございません。
あらかじめご了承ください。











@病院の駐車場






















(バタンッ)


















(ハァ、ハァ、ハァ)

















ユーゴ、病院着いたぞ。










よいしょ。うっ…。
(車からおろし、ユーゴを背負う)















ハァ、ハァ、ハァ…
















お前、ちょっと痩せたと思ったら。
体重戻ってきたんだ。





良かったな。

















(ウィーン)      病院へ入る
















すいません、急患なんですけど。
こいつ突然意識を失ったんです。










あの、友達です。











たまたま通りかかったので、
状況はよくわかんないんですけど。
















保険証?



ユーゴの荷物…ない…。













後日持ってきていいですか?

ちょっと探してみます。

























「おれ、彼の保険証持ってます。」


















あ・・・!!!




























相葉ちゃん
「ごめんね、おれが荷物全部持ってたの。

すいません、宜しくお願いします。」

















・・・・・・。

















@待合室
















相葉ちゃん
「コーヒーどうぞ。温かいよ。
ミルクとお砂糖入れる?



















…ホクトくん。」














(ホクトが大学で落としたノートを渡す)



















ホクト
「何で俺のこと…!!」












相葉
「1回会ってるよね。
ユゴちゃんが魔物に襲われる直前さ、おれが道聞こうとして声かけたんだよね。




タロちゃんから写真見せてもらったとき、どっかで会ったな〜と思ったんだけど思い出せなくて。



さっきユゴちゃんおぶって必死な姿見て、この人がホクトくんかって。確信した。








まさかあの場にユゴちゃんの親友がいるなんて思わなくて、気遣ってあげられなくてごめんね。」














ホクト
「・・・・・・・・・。










俺、親友なんかじゃありません。











俺はユーゴのことを裏切った。
シンタローのことも。










俺が本気でバンドやってるのに、
お前らと一緒にいい景色を見たくて頑張ってるのに…
お前らは呑気に楽しんでるだけで…
本気で頑張ってるのは俺だけだ、って言っちゃったんだ。












フェスのオーディションに落ちたのを2人のせいにして、逃げた。












そのあとも2人は俺にL○NEを送ってくれた。
毎日戻ってこい、って言ってくれた。












でも、既読スルーした。













脱退して3日経って、後悔した。
ただフェスに行きたかっただけじゃない、あいつらと一緒に音楽がしたかった…。
なのに、なんで俺は…。
















(相葉: …3日坊主?)












俺…あんなに酷いことを言っておいて、
2人のこと傷つけておいて、
今更戻りたいだなんて言い出せなかった。












それで、ムキになって既読スルーし続けた。













他の奴とバンド組んで…
もっと最悪なことして…。














脱退して1ヶ月経ったとき。
新しいバンドメンバーと一緒にいるときに偶然ユーゴに会って、











それから2人からのL○NEは全く来なくなった。













(相葉:あ、もしかしてあのとき…)













(回想)






ユーゴ
「俺が会いに行って邪魔にならなきゃいいな。
今凄い充実してるかもしれない。
探さない方がアイツの為かも。」










(ユゴちゃんがだいぶ暗かったのは、そういうことなのかな。)
















ホクト
「他のバンドにも入ったけど、思うようにいかなくて。


何かあればすぐ、
ユーゴならこうしてくれる。
シンタローならこうやって演奏するって思って。











ああ。
俺はあいつらのことも、あいつらの奏でる音楽も、本当に好きだったんだなって。















このままだとだめだ、ちゃんと謝らないと。
2人のもとに戻りたい。って思って。













それからは毎日ユーゴの後をつけてたんだ。













(相葉:それから毎日…って、5ヶ月間!?)














毎日あいつを見てて。
俺、本当にびっくりした…





マイペースな割に空気読めるし周りのことよく見れる奴だけど…














毎日後をつけてても

全く気づいてなかった













試しに少し近づいてみたけど、

なんの気配も感じてない












相葉
「意外なような…なんか想像つくような」












ホクト
「そしたら、あの日。
前一緒に練習してた貸しスタジオの前でユーゴは立ち止まってた。










俺の写ってるバンドのポスターを眺めてた。














声かけようとしたけど勇気がなかった。
怖くて、足が前に出なかったんだ。













ひどいことを言った、一方的に去った。
今更戻りたいと言われても…ユーゴは受け入れられないかもしれない。
断られたらどうしよう。
もう2度と戻れないかも…。















俺は。
本当の気持ちを言いたい、と思ってるつもりになってただけかもしれない。

だから5ヶ月間、毎日後をつけていたのに1度も声をかけられなかったんだ。













そしたら、あなたに声をかけられた。












また今日も、声をかけない理由になるかな、と思ってしまった。












・・・でも、ちょっと目を離した隙に。
あいつは血まみれの変わり果てた姿になった。










怖いというよりも頭が真っ白になった。
昔っから一緒にいたユーゴが、
ついさっきまでポスターみてただけのユーゴが、
目の前で人の形じゃなくなった。











それでも、見ず知らずのあなたはユーゴの命を助けるために必死だった。
でも、俺はなにも出来なかった。
いや、なにもしなかったんだ。











何もしてないくせに、気になってこっそり病院についていった。









ユーゴのことは凄く心配だったけど。


ふと、
"あのとき声かけてたら自分もこうなってたのかな"
と思った。
そしたらだんだん怖くなってきた…











そのあとユーゴの怪我がウソみたいに良くなって安心してたのにコンビニの前で倒れて














もう、何が何だかわかんなかったけど。










大学であなたが教授と話してるのを聞いて。














(回想)

相葉
「ユゴちゃんのことはおれが守ります。
絶対に死なせません。」













ホクト
「"あの時声をかけてたら自分も危なかったかもしれない。











でも、声をかけたことで振り返っていたら、あのバケモノに気付いてうまく避けられたかもしれない。"




俺はユーゴの背後からの鈍感さに気付いていたのに。










あの場所で立ち止まってたのは俺のせいだ…
避けられなかったのは俺のせいだ…


もしユーゴが死んだら…俺のせいだ…」
































相葉
「・・・・・・。」










(ぐすん)











(えーーーーーーん)
#自称おじさん大号泣












ホクトくん。
バンドのことも、ユゴちゃんのことも、
いろんなこと考えてたくさん悩んでたんだね。つらかったね。

ホクトくんは何も悪くないんだよ!
ユゴちゃんのこと襲った魔物が悪いの!
時速200kmの速さで移動できるらしいし、声かけたところで避けられなかったよ!!」











ホクト
「・・・・・・!!


お、俺。
今からでもユーゴの為に何か出来ますか?









あぁ・・・・・・。

俺のことなんてもう嫌いだろうな、恨んでるだろうな…。
今更何をしたって…。」
















相葉
「そんなこと絶対ない、これ見て!!」















(ユーゴの荷物から終活ノートを取り出す)












ホクト
「あ、このノート…」












相葉
「魂が抜けやすくなってからユゴちゃんが書き始めた、終活ノートなんだけど。














"ライブする・・・北斗も一緒に。"
















(俯くホクト)











ホクト
「いや、いや、、、人ってさ思ってることだけを言葉にして生きてるわけじゃないし」












相葉
「そうだね。でも、

思ってないことだけを言うわけでもない…。





少なくとも自分が死ぬかもしれないと思ってるときに、やりたくないことをやろうとするかな?



やりたい、って本気で思ってることを精一杯やりたいと思うんじゃない?





少なくともおれは、ユゴちゃんってそういう子だと思ってるよ。
2ヶ月くらいしか見てないけどさ。


北斗くんだって本当はそんな気がしてるでしょ?」
















(ホクト、涙を流す)













なんやかんやブツブツ言ってるけど、
ホクトくんと一緒にバンドやること全く諦めてないのよねー。


ホクトくんのことをよくわかってるのは見てて感じる。
多分ホクトくんが今つらいのも薄々わかってるような気がする。


ユゴちゃんも声をかける勇気がないのかもしれないね。



お互いに気を遣いすぎだからさ、
2人とも思ってることがあるならもっと素直に言いなよ。

親友なんでしょ?」




















看護師
「検査は一通り終了しました。
短時間で良ければ面会していきますか?」










相葉
「はい!


ほら、声かけてあげて」















シンタロー・ジュリ・タイガ

「おーい!ユーゴー!!」










(後ろの方からゾロゾロ出てくる)











タイガ
「おーい!
目覚めない気でいるなら、

三密を "壇蜜" 

って言ったのバラすぞー」










ジュリ
「うなぎパイを間違って

○っぱい

って言いそうになったのバラすぞー。」









シンタロー

「まーちゃんに手出そうとした

ことバラすぞー」













ジュリ・タイガ

「え!?マジ!?」













シンタロー
「ホクト!
お前も黙ってないで何か言えよー!!」












(シンタロー、ゴッツイ腕をホクトの首にかけ引っ張る)











ホクト
「ユーゴ。




ごめん、本当に…ごめんなさい…。




シンタローも…ごめん、俺あのとき…。」















シンタロー
「あれ?なんかあったっけ??
俺ぜんぜん覚えてねぇ。










あぁ、心配だからL○NEの返事はくれ。
そんくらいかなー。











って、ユーゴもそんな感じだと思う。」













ホクト
「シンタロー・・・。ありがとう。」













ジュリ
「おい、お前俺には謝れよな!
さっきはよくも俺の目の前でユーゴを誘拐したな!」











タイガ
「まぁまぁ💦」















(立ち去る相葉ちゃん)












(続く)

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