のど飴戦士アイバチャンSeason11 【第0話ー後編】
※これはフィクションです。
登場する人物、場所、団体等は実際のものとは一切関係ございません。
また、人間や魔物の体質についての記述については医学的根拠は一切ありません。
あらかじめご了承ください。
ユーゴ
「急がなきゃ、早くしないと…。
うわ、道分かれてる!
どっちだったっけ?
えー。
こっちがお墓で、
こっちが家か、!
やばい、迷ってられない!」
(お墓の方へ走るユーゴ)
ユーゴ
「さっきお墓の前で会ったからっ、、、
もしかしたら、お墓参り、する、つもりだったのかも!
ハァ、ハァ、ハァ…。
賭けに出ちゃったけど、もう信じるしかない。
絶対、外せない、、、
ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、、、
あ、いた…。
ハァ、ハァ、ハァ、
おじいさん、おばあさん!
今すぐ逃げて!
ハァハァ…
もう限界…。
(両膝をついてしゃがみ込む)
ユーゴ
「ハァ、ハァ、ハァ、、、」
おばあさん
「ユーゴ君、どうしたの?」
おじいさん
「逃げてって、どういうことだ。」
ユーゴ
「詳しい話は、あとで、しますから。
山のふもとまで逃げましょう!
ここは、危険なんです、、、!!」
(ガサガサッ)
ユーゴ
「え、、、!!」
山猫
「お、かわい子ちゃん。
こっちに逃げてたのー??
ダメじゃーん。僕から離れたら。」
ユーゴ
「じぇ、ジェシーは!?」
Mr.ズドン
「・・・マテ、、、ニゲルナ。
…ズドン。」
(シューーーーーン・・・)
山猫
「弱っ!
人間を食べたことないなんて、魔物のくせに愚かな真似してたんだからしゃーないよな。
魔物はこうやってエネルギーを確保するんだぜ。見てな。」
(ビューーーーン!)
(バーーーーーン)
(墓石に大きな傷がつく)
おじいさん・おばあさん
「お、お墓が。」
(魔物、おじいさんとおばあさんから溢れ出る負のオーラを吸い取る)
山猫
「フフフ、ハハハハハ。
こうやればいいのさ。」
ユーゴ
「ひどい・・・。
どうかこいつにバチが当たって欲しい。」
Mr.ズドン
「ユルサナイ。
ズドン!
ズドン!ズドン!
ズドン!」
(しゅー…。)
おばあさん
「ジェシー君、まだ戦うのかい。」
おじいさん
「もう限界じゃなかろうか。」
ユーゴ
「悪魔の魔力が強まってます。
ここは俺たちに任せて。
急いでふもとまで逃げてください。」
おじいさん
「わかった。
・・・絶対、無事でいてくれ。」
Mr.ズドン
「ズドン…。」
(・・・・・・。)
魔物
「ハハハハハハ!
勢いあったの最初だけか!
笑わせるんじゃねぇ!
お前邪魔なんだよ。
これでも喰らえ!」
(ババババババババ!)
ユーゴ
「ジェシー危ない!」
Mr.ズドン
「ウゥ…。
・・・ユーゴ!?
ダイジョウブカ!!」
(ユーゴを抱きかかえて身体を揺さぶる)
(ユーゴ、目を閉じたまま返事がない)
(シューーーーーーー)
Mr.ズドン
「ユーゴ!ユーゴ!!
キズ、ナオッテルノニ。
メヲサマシテ。オネガイ。
オネガイ、ダカラ、、、。
山猫
「かわい子ちゃん、死んじまったか?
かわいそうに。
これで俺は嘘つきでも鼻がニセモノでも、ないよな?
お前のせいで死んだんだもんな。」
Mr.ズドン
「ユルサナイ、ユルサナイ、、、
ウワァァァァァ
オマエ、タオス!
ボクガコロスノハ!
オマエガ!サイゴ!」
魔物
「無理だろ。このザコめ。」
ユーゴ、
ユーゴ、
ユーゴ、
ユーゴ、
ユーゴ、
ユーゴ、
・・・ユーゴ、、、
ズドーーーン!
山猫
「なんだこれ…!!」
(バキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキ)
山猫
「チクショー。
こんなザコに負けるのか…
いや、まだ戦える。
まだ、、、」
Mr.ズドン
「ユーゴ!ユーゴ!
メヲ、サマシテ!
ゴメン、ボクノセイデ・・・。
ゴメンネ、ゴメンネ、
ユーゴ、マモルッテ、ヤクソク、シタノニ。
ヤッパリ、ダメダ。
ボク、キミガイナイト…
イキテ、イケナイ・・・。
コレ、イッタラ、オコルカナ?
ユーゴ、ボクネ。
ヤッパリ、キミノコト…
(ジェシー、ユーゴの耳元で囁く)
(パァァァァァァ)
(ジェシー、腹部に手を当てる)
ズド
ユーゴ
「やめろ!死ぬな!」
(ユーゴが飛び起きて、勢いよく頭突き)
Mr.ズドン
「ユーゴ!?
イキカエッタ!ヨカッタ…」
山猫
「お…かわい子ちゃん、生きてたのか?
なんだー、そうか、そうか…」
(ユーゴ、山猫を思いっきり蹴り飛ばす)
(山猫、力尽きる)
Mr.ズドン
「ユーゴ、ヨカッタ。」
おじいさん・おばあさん
「今の物音はなにかね!?
お墓は大丈夫か!?」
ユーゴ
「魔物退治は終わったよ。
ちゃんと逃げてないと駄目だろ!
あの悪魔、かなりタチ悪い奴だぞ!!」
Mr.ズドン
「ユーゴ?
ナンカチガウ。」
おじいさん・おばあさん
「ユーゴ君?」
ユーゴ?
「俺の墓のことはいいから。
父さんと、母さんは元気でいてくれよ。」
おじいさん・おばあさん
「まさか、お前…」
ユーゴ?
「お盆だから帰ってきたんだ。
まさかこんなことになるなんて。
偶然この2人が今日来てくれて本当に良かった。
ビックリしたよ。
俺を殺したNo.35531が墓参りに来るなんてね。
普通に人間みたいに暮らしてんだ。」
ジェシー
「あの時の戦士さん。
すみませんでした。
僕は、僕は…
あなたの命を奪い、あなたの幸せな未来を奪い、あなたの家族を苦しめてしまいました。
本当に、申し訳ありませんでした。」
おじいさん
「お前、この人のことが憎いか?」
ユーゴ?
「そりゃあ憎かったよ。
魔物だし、俺のことを殺した奴だよ?
でも今の姿を見たらそんな気持ち全くなくなった。
父さんと母さんを守ろうとした。
俺の墓を守ろうとした。
本来は仲間であるはずの魔物を退治した。
大切な人が死んだと思って自ら命を絶とうとした。
そして、今こんなに俺を殺したことを後悔している。
俺、何かこいつを憎む理由が見つからなくなった。
まぁ、元々俺はお前のことを憎む資格なんてないんだ。
先に殺そうとしたのは俺だから、
お前は助かろうとしただけ。
だから、ただの正当防衛。
もういい、頼むから顔を上げてくれ。」
Mr.ズドン
「アリガトウ。
オハカ、ナオサセテ。
コレ、マモノ、ヤッタコト。
マモノトシテ、カワリニ、オワビ、シタイ。
セキニン、トリタイ。」
(パァーーーーー)
おじいさん・おばあさん
「お墓が…治った。
あんなに壊れてたのに。」
Mr.ズドン
「ウゥ…」
ユーゴ?
「壊れたものの修復はかなり魔力使うんだな。
ダメージが強いみたいだ。
もう、俺のことはいいから。
友達のそばにいてやれよ。」
Mr.ズドン
「ユーゴ…!!」
ユーゴ?
「さっき君たちが墓参りに来た時から不思議だったんだ。
彼に魔力を預けてるのは何故なのか。
それも関連してるんじゃないかと思うけど。今、ユーゴ君の魂が身体から分離していてそこに座ってる。
さっきまではお墓のご近所さんに挨拶されて怯えて動けなくなってたけど、今はそれどころじゃないみたいだ。
君のことを想って泣いているよ。」
Mr.ズドン
「ユーゴ、ダイジョウブ?
ドコニイルノ?ナイテルノ?
ゴメンネ、ゴメンネ。
ボク、ココニイルカラネ?」
おじいさん
「何がなんだかわからないが…
帰ってきてたんだな。」
ユーゴ?
「毎年お盆には帰ってきてたよ。
ユーゴ君、優しいね。
せっかくだから両親とお話ししないかって、身体を貸してくれたんだ。
父さん母さん。
ずっと言えなかったけど、本当にありがとう。
産んでくれて、育ててくれて、俺のやりたかったことを応援してくれて、死んでからずっとお墓守ってくれて。
父さんと母さんのもとに生まれてこれて幸せだったよ。
先に死んでごめん。」
おじいさん・おばあさん
(すすり泣き)
ユーゴ?
「魔物はもうこの山に居なくなったけど、身体だけは気をつけて。いつまでも元気で居てほしい。
俺はもうNo.35531…ジェシーのこと憎んでないから、父さんと母さんもジェシーのことを許してほしい。
俺は、いつでも墓参り来ていいと思ってるからさ。」
おばあさん
「そうか、わかったよ。
あんたも許してると知って安心したよ。
私たちも困ってたんだ。
さっき私たちとお墓を守ろうとあんなに苦しそうに戦ってるのを見てしまってね。
父さんも無事で居てほしいって思ってたくらいだから。」
ユーゴ?
「話せてよかったよ。
あ、ひとつお願いがある。」
おじいさん
「うん、なんだ?」
ユーゴ?
「この2人、ヒーローに向いてると思う。
今は養成所が廃止になってて、現役のヒーローに弟子入りするようになってるはずだから。
もしこの2人が希望するなら、俺の知り合いに適任の人がいる。
連絡を取って弟子入りさせてやって欲しい。
去年墓参りに来たとき、1級戦士に昇格したって言ってたからまだ現役だ。
兵庫県の小さな町でキッチンカーを経営してるらしいから。」
おじいさん
「わかったよ。」
Mr.ズドン
「ユーゴ、ダイジョウブ。
コワクナイ、コワクナイ。
ボク、ソバニイルカラネ。」
ユーゴ
(ジェシー!ばかやろう!
なんで…なんで俺の後追いなんて…。
そんなことしたら絶対許さねーから!
うぅ…。泣)
ユーゴ?
「2人とも話聞いてなかったか。」
Mr.ズドン
「?????」
ユーゴ?
「君たちはヒーローに向いてるよって話してた。」
Mr.ズドン
「イヤイヤ、サッキミテタヨネ?
ボクタチ、ムイテナイ!
ボク、ザコダシ!
ユーゴ、アブナイ!ダメ!」
ユーゴ
(ジェシーは俺に危ない目に遭って欲しくなくて、断固反対なんです)
ユーゴ?
「うん、お互いがお互いに気を遣いあって個人プレーするなら一生無理だ。
さっきも実質負けのような戦い方だし。」
ユーゴ
(厳しいけどこれが現実よね。
なんで合格したのやら。)
ユーゴ?
「1番の敗因は、ジェシーがユーゴ君に頼らなかったことだ。」
Mr.ズドン
「へ?」
ユーゴ?
「ユーゴ君は君の魔力に耐性があるんだろ?
洗脳されないから理性を保ったまま、ジェシーと同じように魔力を使える筈だ。」
Mr.ズドン
「ソウダ…シッテルンダネ。」
ユーゴ?
「なんとなく見てわかったんだ。
一応、元ヒーローだからね。
2人で連携して戦わないと、2人とも危険だ。
ユーゴ君はジェシーの魔力を借りないといけない。
ジェシーはユーゴ君の能力に頼らないといけない。
それが君たちの戦い方なんだと思う。」
ユーゴ
(なんか、無性に納得できる。)
ユーゴ?
「あとは、ジェシーはユーゴ君から魔力を抜きすぎないこと!
お互いに身体張って守りすぎないこと!!
ヒーローは1人で年間10体、多くて20体の魔物を倒す人もいる。
魔物1体は年間平均5人程度は人間を食べているらしい。
ヒーロー1人死ぬことで、100人の一般市民が救えなくなってしまうんだ。」
ユーゴ
(ヒーローって凄えな。)
ユーゴ?
「ユーゴ君。
君が死んだら、ジェシーはまた死のうとしてしまうかもしれないから・・・年間200人の一般市民の命はない。
それに、ヒーローも人間だ。
君が死んだら家族や友人、大切な人は君のことを想い泣いて暮らすことになるだろう。
俺の両親を見て分かったよね?
それは絶対、忘れないでいた方がいい。」
ユーゴ
(はい!)
Mr.ズドン
「ユーゴ、コエキコエナイ。
デモ、マサカ、ヤルキ?」
ユーゴ?
「やる気、あるみたいだよ。
ジェシーはどうする?
さっき俺に耳打ちしてたのが本当なら、
ユーゴ君1人に魔物退治させていいの?」
Mr.ズドン
「ユーゴ、マモル。ゼッタイ。」
ユーゴ?
「ユーゴ君、そういうことだから。」
ユーゴ
(ありがとうございます!)
@おじいさん・おばあさんの家
zzZ〜zzZ〜
⚡︎⚡︎⚡︎(電話)
おばあさん
「もしもし。」
「なに💢」
おばあさん
「あら、取り込み中かしら?
ごめんなさいね。」
「あぁ、ごめんなさい!
たった今、はとこと電話で喧嘩しちゃって〜。
おばさん、お久しぶりです!
お身体の具合は大丈夫でしたか?」
おばあさん
「えぇ、大丈夫ですよ。
お父さんも元気にしてました。
それでね、お願いがあってお電話したんだけれども。」
「はい!なんでしょう?」
おばあさん
「弟子入りをお願いしたいヒーロー志望の子が2人いて。
墓参りしたときに息子に頼まれたのよ。
あなたが適任だって。」
「そっか!お盆だから帰って来てたんだ〜!
会いたかったな〜!!
来年お盆のタイミング狙ってそっちに行こうかな〜!!」
おばあさん
「相変わらず見えちゃうみたいね。」
「そうなんですよ。
見えるし取り込むし苦労してます💧」
おばあさん
「それで、ヒーロー志望の子なんだけど。」
「まさか2人って。。。
ついさっき、はとこにも2人弟子に入れてって言われて揉めたんですけど…。
まさか…
笑顔の可愛い大学生と
髪青くて身長高いお兄さん
じゃないよね??」
おばあさん
「そうそう!話が早かったわ!
さっき、山に居座ってた魔物1体を2人で倒してくれたのよ。
息子から頼まれたの。
私たちももう歳だし先も長くないからね。
これがあなたへの最後のお願いよ。
なんとかならないかしら?」
「うーーーーん。
うーーーーーーーーーーーーーん。」
(ガシャン)
ユーゴ
「…すいません、寝ちゃってて。」
おばあさん
「ユーゴ君、おはよう。
ちょっとは疲れ取れたかしら?」
ユーゴ
「おかげさまで!もう大丈夫です!
おばあさん、お電話ありがとうございます。」
ジェシー
「ムニャムニャ…。
あれ?僕寝てたの?」
ユーゴ
「お前頑張ったからな。
疲れて寝ちゃったみたいだぞ。
俺も今起きたところ。
今おばあさんが師匠に電話してくれたんだ♪」
おばあさん
「弟子入り、了承してくれたわ。
良かったわね。」
ユーゴ
「だいぶ強引でしたよね(笑)」
あの言い方ならあの方絶対断れないじゃないですか!」
おばあさん
「1人で2人弟子取るのは大変だから、どっちかだけでいい?って言われたけど。
もう1人はツテがあるみたい。」
ユーゴ
「あぁ〜。あの人かな?
大学が夏休みのうちに会えたらいいな〜。
師匠たちに。笑笑」
ジェシー
「あの人が師匠ねー。
大丈夫かなぁ?笑笑」
ユーゴ
「スゲーほんわかしてるけど、
強さは本物だから!」
おじいさん・おばあさん
「無事に帰還してくださいね。
新米ヒーローさん。」
(1話へ続く)
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