のど飴戦士アイバチャンSeason1【第15話 】
※これはフィクションです。
登場する人物、場所、団体等は実際のものとは一切関係ございません。
また、体質についての記述は医学的・科学的根拠はありません。
あらかじめご了承ください。
@家
(ガチャッ)
(ジェシー、ユーゴをおぶって家に入る)
(バンッ!)
ジェシー
「ユーゴ、家に着いたよ!」
(ベッドに下ろす)
相葉
「ユゴちゃん、大丈夫?
目覚まして!!」
ユーゴ
(すやすや)
相葉
「…寝てるだけとかまた魂抜けちゃったとかじゃないんだよね?」
ジェシー
「間違いないヨ!
魂抜けるホド魔力抜いてナイ!
しかもさっきの魔物のニオイ…。
心当たりがアル…」
相葉
「おれたち。魔物、見落としてた?」
ジェシー
「いいや、僕が見過ごしてた。
あいつの仕業で間違いない。
人間として普通に暮らしてるものだと思って。
師匠、ユーゴ…ごめんなさい…。
その人が魔物だって僕が気付いてることも向こうは知ってた。
あと、僕の秘密。
知ってるから、誰にも言わないでって口止めしてた。
ユーゴ、ユーゴ!
なんで魔法にかかっちゃったカナ?
僕の魔力が体内にあるときは他の魔法にかからないはずなのに。」
相葉
「何が起こってるんだろう。
どうすれば…」
(ガチャッ)
翔
「ユーゴ!まだ目覚めてない?」
ユーゴ
「zzZ〜」
ジェシー
「こんなことになるなら、もっと早く伝えておくべきだった。
僕は…。」
その頃…
@ユーゴの夢の中
「あれ?
さっきまで相葉さんとジェシーとスーパーで買い物してて…
ーおかしい。
さっきまで夜で、しかもスーパーの前にいたはず。
何故か昼間の公園にいる。
さっき買った卵は?俺持ってたよな?
ジェシーに渡したっけ?
いや、渡すはずない…
あいつ、雑に持って割りそうだし。
#ご名答
#予想通り
#割りました
ーあれ?何しようとしてたんだっけ?
なんか変。嫌な予感がする。
これ、相葉さんに報告したほうがいいよね。
???
「すいませーん」
ーキッチンカーに向かおうとすると、後ろから声をかけられた。
ユーゴ
「ユータくん。今日も野菜の配達?」
ユータ
「いいえ。あのー、突然すみません。
僕、今日はユーゴ君に用がありましてですね。」
ーあれ?少し違和感。服装もそうだけど。
今日ハロウィンじゃないよな?
人間じゃないような。まさか魔物?
でも敵意は感じない。
ユータ
「ユーゴ君、実は私。
本当は人間じゃなくて。
魔界の王の使いでして。」
ー突然のことで急に意味がわからない。
魔界の王の使い?ユータ君が?
ウソだろ!?
本当だとして、ヒーローとしてペーペーな俺に魔界の王が一体何の用なんだろうか?
他に適任がいるんじゃないの?
頭の上にハテナが止まらない。
ユーゴ
「魔界の王?魔王?」
ユータ
「えぇ、そうです。魔界の1番偉いお方。
私はその、王様の使いなんですけれども。」
ユーゴ
「あぁ、ごめん。急すぎてびっくりして。」
ユータ
「そうですよね。
驚かせてしまってすみません。
それでですね。
王様からあなたに贈り物がありまして、お届けに参りました。」
ーやっぱり意味がわからない。
なんで王様が?なんで俺に?
手渡されたものには魔界の文字なのか?
何か書いてあるけど、全く読めない。
ユーゴ
「これ、何で書いてるかわかんない。」
ーそうか!
というリアクションをするユータ君。
王の使いの割にさっきから喜怒哀楽がハッキリしている印象を受ける。
シンタローがかなり天然な子って言ってたな。
ユータ
「すみません、そうですよね。
これ、お城への招待状になっております。
貴方様にぜひ魔界に来ていただきたいと王様が…」
ユーゴ
「なんで、俺?
ほら、俺まだヒーローとして素人だからさ?
人間界と魔界の将来の話をするんだとしたら、俺なんかより適任な人は他にたくさんいるじゃん。」
ユータ
「いいえいいえ!
貴方がいいのです!
別に難しい話はありませんから!
詳しくは到着しましたら王様から話がありますので。えぇ。」
ーなんか緊張して変な汗かいてきた。
天然だからうっかり内容言わないかな?
ユーゴ
「迷いますね。
魔界ってちょっとこわいし。
どんなお話なのかわかったらもうちょっと前向きに考えられそうなんだけど。」
ユータ
「あー、そうですよね。
まぁ、簡単に言いますと、
王子と結婚して貰いたい
そうですよ。
全然戦いに関係ないでしょ?
安心して大丈夫ですからね」
ユーゴ
「えぇ?俺がぁ?
魔界の王子と?結婚??」
ー声がうわずってしまう。
安心してくださいって?
できるわけねーだろ!
ユーゴ
「あのー、そういう話でしたら。
ちょっと今すぐ決めれないです。
魔界に行く、しかも魔王の命令で王子と結婚だなんて、ねぇ?
俺だって知らない奴、しかも男と結婚なんて抵抗あるし。
親は心配するだろうし。
ほら、俺が結婚するって聞いたら黙ってない奴いるだろ?
そんな大事なこと、慎重に決めたいから。」
ユータ
「あの!そこをなんとか!
王様が!
貴方以外の人を適任と考えていなくて。
ほんとに!
貴方しかいないんです!
貴方が相手だったら王子も魔界に戻ってきてくれると思います…!
ちょっと来てください!」
ーグッと思いっきり腕を掴まれ、引っ張られていく。
なんて力だ。
そうか。人間だと思ってたユータ君が魔物だった。
そういえば今になって思い出した。
ジェシーがユータ君に秘密にしてって、血相変えて言ってたこと。
さてはアイツ。
ユータ君が魔物だって知ってたな?
あ、あのイチゴのビニールハウスで魔物と遭遇した日。
ジェシー、やたらユータ君の匂い嗅いでた!
あの時にはわかってたんだ!
そしてユータくんはジェシーの秘密を知っていたのかも。
多分、魔界の人の中では有名な話なんだ。
今まで戦った魔物はまるでジェシーが顔見知りみたいに話してたり、ジェシーの秘密をバラそうとしてたり…
あ、考え事してる場合じゃない!
ユーゴ
「わ、助けて!
じぇ、ジェシーー!」
ーおい、やめろ!っと声が聞こえる。
ジェシーの声だ。かなり怒ってる。
俺が連れていかれそうになってることに気づいてくれたみたいだ。
ユータ
「さぁ、行きましょう!」
ーユータ君に手を引かれて、そのまま公園を流れる川へ引き込まれる。
ズブズブと身体が奥底へ沈んでいく。
おかしい、前にジェシーと川遊びしたときは足首程度の深さだったはず。
そっか、そういえばこの川は魔界と繋がってるって町の人たちみんなが言ってた。
あ、俺、本当に魔界に連れてかれるんだ…
ジェシー、間に合わなかった…
いつものように諦めモードになったその時。
一瞬、赤い光が自分の身体から出て行くのが見えた。
これ、ジェシーの魔力だ。
ジェシーが俺の身体から魔力を抜き出している。
間に合ってないけど、間に合った…
のかな?
少なくとも王子と結婚させられるまでには助けに来て欲しいな。
いつもみたいに王子様みたいなタイミングで…
ぼんやり考えながら俺の身体は暗闇の中を流れていった…
・・・・・・・・。
ー気を失ってたのだろうか。
目を覚ますと天井にシャンデリアが見えた。
今まで寝たことのないフカフカのベッドの上にいる。
壁もすごく立派だし、大理石の床には立派なカーペット。
これが王様のお城か。
いつのまにか俺の服は着替えられていた。
これまた見たことないくらい良い素材の純白のタキシード。
魔界の王子と結婚=お嫁さんにされる
と思ってドレス着せられたらどうしようと思った。
女装はタイガみたいなもっと可愛い男子がやるもんだし。
…俺、シンタローが言うほど可愛いタイプじゃないと思うんだよね。
にしても、寝てる間に勝手に着替えさせられていたことは不服で。
…って言ってる場合じゃないんだ。
俺、王子との結婚に同意してない。
このままじゃ勝手に結婚させられる。
早くここから逃げ出さないと。
でも、逃げたところでどうやって人間界に帰ればいいんだろう。
あれこれ考えていると部屋のドアが開いた。
ユータ
「お目覚めになられましたか。
お休み中に大変失礼致しやした!
結婚式の準備はこちらで全てやらしていただきやしたんで!
あとは王子の到着を待つだけでございます!」
ユーゴ
「いや、俺さぁ?
お前んとこの王子と結婚するなんて一言も言ってねーし!💢
同意してねぇ!💢
この結婚は破談だわ!💢」
ーこの人は悪くない。
ただ王の野郎に指図されてこんな馬鹿な真似をやらされてるだけだとはわかりつつも、イライラを我慢できず悪態をついてしまった。
心の中ではごめんねと思う。
再びドアが開いた。
ユータ
「お、王様!」
ユータ君が深く頭を下げて敬礼している。
こいつが魔王か。
このまま討伐してやりたいところだが、ヒーローとはいえ俺1人じゃなんにも出来ない。
しかもこんなラスボス中のラスボス…。
ユーゴ
「俺、結婚はしねぇ!
これから俺の仲間が助けにくる!
お前なんて…あいつの小指1本でケチョンケチョンに倒されるぞ!」
魔王
「ハハハ!
魔王である俺を小指1本で倒すだと?
そんな面白い仲間がいるのか!!
まぁいい。じゃあ…
人間界に家出している王子が戻ってきたらお前は人間界に返してやろう。」
ユーゴ
「あ、俺もしかして…おとりってこと?」
王
「そうだ。
だからおとりの仕事が終わったらお前は帰す。
ただし。
王子がもう家出しないと約束したならばだ。
約束ができないのならばお前には命を懸けてもらう。
お前を殺す、そういえば言うことを聞くはずだ。
これが、結婚以外の代替案だ。」
ユーゴ
「王子、かわいそうだな。
そうやってこの城で心も身体も縛り付けられるんだ。
こんなその辺歩いてるただの人間助けるために大好きな外の世界を我慢してくれるような親切な魔物さんかぁ。
親がどんな奴かは別として良い人そうだから、会ってみて付き合うことから初めてもいいかな?
親の片鱗出てきたら即刻別れると思うけど」
ーふぅ、とため息をつきながら嘆くとユータ君は不思議そうで。
ユータ
「あの、あなたはただの人間ではないんじゃないですか。
え?違うんですか?
わたくしの調べた情報によると、あなたは王子とお付き合いされていてかなり親密な関係だって…
王子と抱き合ってるところは見たことありますし、人伝にキスしたことも聞いています。
夜は王子と」
ユーゴ
「は?俺が?魔界の王子と?
恋人?親密な関係?ありえねぇ!
まず俺恋人いねぇし!
人違いだわ!!」
(ドドドドドドドド…)
(ガヤガヤガヤガヤ…)
ー急に廊下が騒がしくなる。
こんな立派なお城なら防音されててもおかしくないのに、喧騒がよくわかる。
(バァン!)
勢いよく扉が開いたかと思えば
執事
「王様!王子が…
マサヤ王子が!
城に戻られました!!」
ユーゴ
「マサヤ王子?
やっぱ名前聞いても知らねぇ。
俺が王子の恋人説なんてどっから出てきたの?」
執事
「王様、王子をここにお通ししてもよろしいでしょうか?」
魔王
「あぁ、通せ。
100年ぶりの再会だな。」
ユーゴ
「マサヤ王子すげーな、そんなに帰らなかったんだ。
どんだけお城嫌いだったんだろうな!」
城の兵士
「おい!王様になんという無礼を!
言葉を慎め!」
魔王
「言葉を慎むのはお前だ!
この人間は本来俺がマサヤの妃、のちの王妃となる者、王位継承権を有する子を産む者だと考えて招いた来客だ!」
城の兵士
「は、大変失礼致しました!
ご無礼をお許しください!」
執事
「マサヤ王子が入られます!」
ー部屋の中、俺と王様を取り囲むように立っているおびただしい数の兵士や使用人の中。
息を切らして勢いよく部屋に入ってきた王子を見て唖然とした。
(続く)
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