のど飴戦士アイバチャンSeason11 【第16話】





※これはフィクションです。
登場する人物、場所、団体等は実際のものとは一切関係ございません。また、人間や魔物の体質についての記述は医学的・科学的根拠はありません。
あらかじめご了承ください。











@早朝・4時頃


















松ニィ
「お前ら、次はこっちの収穫な。」















シンタロー

「はい!」





















相葉ちゃん・翔

「おーい!!」



















松ニィ
「おぅ!お前ら!
こんな早い時間にどうした?」




















シンタロー

「ハハハハハ!





ユーゴなんてまだ爆睡じゃん!




ジェシーにおんぶされちゃってさぁ!」



















ユーゴ
(スヤスヤ…)
















ジェシー
「・・・色々あってサ。
ユーゴ、昨日カラ目覚メなくなっちゃッタ。」



















シンタロー
「マジかよ。。。


寝てるだけじゃねぇのかよ。。。


また、、、なんで?


なんでいつもコイツばっかこんな目に遭わされてんだよ。。。









そっか。
だからジェシーの髪、赤いんだ。





ジェシーが魔物になりかけてるなんて緊急事態だよな。。。





















おい!ユーゴ!起きろ!


寝てちゃダメだ!


頼むから!お願いだから!


目覚ましてくれよ!!」



















(ブンブン揺さぶる)















ユーゴ
(すやすやぁ…)

















「こんなに揺さぶっても起きないか…」













相葉
「タロちゃんの馬鹿力でもダメか〜。」












「こんなに背中のユーゴを揺さぶっても微動だにしないジェシーが揺さぶってもダメだったからね。


この魔法かけた奴に解いて貰うしかないか。」













ジェシー
「ユータが何か手がかりを握ってると思うんだけど。

今どこにいる?」













シンタロー
「今日体調悪いみたいで休んでるぜ?
まだ山小屋で寝てる。

あんなに寝るの珍しいんだよ。
普段3時間くらいしか寝ないんだよ。」




















相葉
「タロちゃんありがとね!

行ってくる!」























@山小屋









相葉
「そこで寝てるの、ユータ君だよね?」













「おーい!起きろー!」















ユータ
「・・・・・・。」












ジェシー

「オイ!

とっとと起きてユーゴを返しやがれオラァ!」







#こわ
#気迫












ユータ
「・・・・・・。」



























ジェシー
「うん。
今寝てるんじゃなくて、魔法発動中なのはわかった。
あの時と同じ匂いがする。



睡眠に関わる魔法を使うみたいだね。
普段の寝不足はこのためかな?」




























一方ユーゴは…



@夢の中








執事
「陛下!マサヤ王子が入られます!」















魔王
「マサヤ。よく帰ってきたな。」











ユーゴ
「・・・・・・。








王子?お前が・・・王子なのか?















ジェシー?」













ジェシー
「ユーゴ、巻き込んでごめんね。
怖かったね。」












ーいつものように優しく抱きしめられ、頭をポンポンと撫でられているのだけれど。





なんかいつもと違う感覚が押し寄せてくるような。





あったかい。心地いい。
上手く言葉に表せないけど。
なんか俺、今すぐジェシーの胸の中で泣いてしまいそう。





いずれにせよジェシーがまた王子様みたいなタイミングで来てくれた。








そっか、こいつ。
本当に王子様だったんだ。











ジェシー
「もう大丈夫だよ、僕が助けに来たからね。
絶対に、君のこと守るから。」










ージェシーの腕の中で心強さを感じたのも束の間。






さっきの王の発言がグルグルと頭の中を廻る。









ジェシーがもう家出しないと約束すれば俺は人間界に帰れる。


でもそれは、俺とジェシーの別れも意味する。


そして何より。


ジェシーは大切な仲間と過ごす時間、音楽、食べ物、ガーデニング、自然や綺麗な風景、人間界での生活全てが大好きだった。



しかし、ジェシーは俺の命を守るために、その全てを捨てなければいけない選択に迫られるのだ。



だが、実質これは選択ではないのは分かっている。



どちらか選べと言われたら、絶対に俺の命を選ぶのがジェシーだ。



他の選択肢を提案したり、下手な小細工なんて要らないくらいに、俺のためならなんだってすぐに捨てられる。



そのくらい、俺のことを心から愛してくれている。



そんな奴だ。



それはこいつの良いところでも、俺が唯一こいつの嫌いなところでもある。








俺が、ジェシーを助けなきゃ。
でもどうやって。









ユーゴ
「ジェシー、人間界に帰ろう。
一緒に。」








魔王
「おい、さっきの話聞いてただろ?
意味わかってなかったか?」










ユーゴ
「わぁってるよ。
でも、俺は。これだけは譲れねぇ。
俺はジェシーと一緒に人間界に帰る。」









魔王
「おい、こいつを取り押さえろ!」








ユーゴ
「わぁ!」








ジェシー
「やめろ!
ユーゴに手を出すな!」










(ザッ!)











ユーゴ

「ジェシー!!」










ージェシーが俺に手を伸ばしたとき。

魔王の剣がジェシーの腕に当たってしまった。




ジェシーの右腕には手の甲から肘近くまでの大きな切り傷が付き、真っ赤な血液がポタポタと床に滴り落ちる。











ジェシー

「…クソ!





ダディ!

ユーゴから手を離して!


その人は・・・!!

僕の大切な人なんだ!」















ユーゴ

「おい!

俺のこと言ってる場合かよ!
その怪我痛くねぇのかよ!」










ジェシー
「ぜんっぜん痛くない!
ユーゴがダディに取られた方が痛い!」









ーあ、やばい。

魔王の持つ大きな剣が俺の首に突きつけられている。

あ、これ、ヤバい。
反論なんてしようもんなら、この場で殺られるやつじゃん。










魔王
「マサヤ!この場で決めろ!
もう家出しないか!
こいつを目の前で亡き者にされるか!」









ジェシー
「ダディ、そんな…
決まってるじゃないか!僕は」











ユーゴ
「やだ、やだ…」









ジェシー
「ユーゴ、大丈夫。助け」








ユーゴ
「お前が今俺を助ける選択を出来ると思えねぇ!」










ジェシー
「HE?

ナニ言ってんの!大丈夫大丈夫!
ユーゴ、心配いらないからね!僕は」








ユーゴ
「魔王、やっぱり最初の提案に乗っていいか?
俺…さっき同意しないって言ったけど。
相手がジェシーなら話は別だ!

俺・・・」


























その頃、山小屋では…




@山小屋









相葉
「じぇす君、大丈夫だよね?
ユゴちゃんに会えたかな?」







「2人のこと信じて、ここで待ってよう。











相葉
「ユータ君?どう?」












ユータ
「・・・・・・。




おめでとうございます。」















相葉
「え?何が?
じぇす君、魔界に着いたの?
ユゴちゃんのとこに行けた?」









「断片的な寝言でしか情報仕入れられないね。」








相葉
「おれたち、今回頼りないね。」
















その頃ジェシーは…








@魔界のお城











ジェシー
「・・・・・・。





ユーゴ、おい…ナニ言ってんの?
そんな…え?」









ーちょっと状況が飲み込めない。

だって…今までは僕と…しないって。










魔王
「マサヤ、そういうことだ。
良かったな、ハハハ。

こいつはただの人間だが、お前の立派な遺伝子を残せそうじゃないか!
跡取りにはさせないけどな!

正室は良質な家系の魔物の中から探しておくから跡取りはそちらに産ませるとよい。」









ユーゴ
「一般家庭の人間で悪かったな!」














ーダディがユーゴの首から剣を離し、高笑いをしている。












ジェシー
「ダディ、どういうこと?」











魔王
「この青年が私の使いに連れ去られたとわかれば、お前は絶対にここに来るだろうと考えた。


最初はお前と結婚させてやろうとこの私が魔界へ呼び寄せたのだが、お前が戻って来てさえくれればそれでいいし、彼には一般家庭の人間の分際で結婚を強く反対されたからやめた。


その代わり、お前がもう家出しないと約束するのならば彼を人間界に帰し、約束できないのならば彼を殺す。
その選択をお前に委ねようと思ったのだ。


まぁ、この青年がまさか今になって結婚を選ぶとはな。
結婚すれば彼は魔界で殺されることはないし、お前たちは離れ離れにはならない。



この咄嗟の判断力は、まだ未熟とはいえ退治屋である者のセンスを感じる。


魔界の平和を守れそうな人材じゃないか!!
ハハハハハハ!!




あぁ、お前だけなら今まで通り人間界を行き来して良いぞ。人間を捕食して魔力を高めたらいい。


彼が城で待ってると思ったら長居はしないだろうからな。
また家出して帰ってこないなんてことになったら、彼がどうなるのか想像つくだろう。」










ジェシー
「ユーゴは?
一緒に人間界に帰ってもいいでしょ?」







魔王
「ダメに決まってるだろ!
お前のことならまた家出しかねない。
城の中でお前の帰りを待っててもらわないとな!」







ジェシー
「ユーゴ、本当に?
そう…思ってる?」








ユーゴ
「約束したじゃん。
じーちゃんになっても、俺たちずっと、一緒にいるって。
俺は、それが一番、良いと思ぅ」










ーユーゴの言葉は語尾がどんどん消え入りそうになる。


自らプロポーズする形となり恥じらいもあるとは思う。


でも、明らかに瞬きの回数は多いし、僕から目を逸らして全然視線が合わない。





手首のバングルを捻ってずらしている仕草も…

僕にはわかる。

こんなとき、ユーゴはウソをついている。

というか、決断しきれてないんだ。

なんで?

単純に僕が家から出なけりゃ良いだけの話なのに。

なんで自分の気持ちにウソついてまで、約束を守ろうとしてくれてるの?

まさか、自分の命がかかってるこんな時まで僕のことを考えて?

人間界と行き来出来るように考えてくれたの?

魔物の僕が人間界に行けるのに、人間のユーゴが帰れないのはおかしいでしょ。










ジェシー
「ユーゴ、本当はまだちょっと迷ってるでしょ?」




ユーゴ
「え?」










ジェシー
「僕は1年近く、ずっと側で君のことを見ていた。






ただ見ていたんじゃない。








僕は、君のことを愛してた。
こんなにも深く誰かのことを愛し、結婚まで考えたのは君が初めてだ。
だからもっと君のことが知りたいと思って、君のことを見ていた。




だから、君の考えてることは全部わかる。」









ユーゴ
「ジェシー、ごめん。
お前は絶対迷わないのに。
迷わず、俺のために決断してくれるのに。」









ジェシー
「ユーゴが今迷ってるけど、自分のことは何も考えてない。
多分、家族のことでしょ?


両親やお兄ちゃんに何も言えないまま、もう魔界から帰って来れなくて、一生会えないこと。

報告したとして、魔界で結婚なんて両親は反対するだろうしジェシーのことをまた悪く思うかもしれないって。」










ユーゴ
「何でそこまで言い当てるんだよ。」









ジェシー
「僕にはわかるよ。


僕、ユーゴにガマンさせたくないし、不安を抱えたまま結婚して欲しいとも思ってないよ。



本当は、僕がこの手で君を幸せにしたい…
だけど…



ユーゴには…
僕がいなくても幸せになってもらいたいんだ。」










ユーゴ
「ジェシー。
お前がいないと嫌なのは俺の方だ。

こんなに賑やかな奴がずっとそばにいて、それが急に二度と会えなくなるんだぜ?


それに、俺が人間界に帰ったら、お前はこれからずっと我慢し続けないといけねぇんだぞ?

バンド活動楽しそうにやってただろ?Y○uTubeもノリノリで撮ってさ。
即興で弾き語りしたら再生回数跳ね上がって嬉しそうで。
仲間と一緒に居るときは本当に楽しそうだったじゃん。

ベランダの花育てんのだってドヤ顔でウンチク語るのはうざかったけど楽しそうにやってたし。

人間のご飯大好きって…トンカツとかピザとか大喜びで食って太って…

俺がバイトのときはぜってー花屋さんで赤いバラ買ってからハンバーガー食いに来て…。



お前は人間の世界に居たら、何やってても幸せそうだったから…。
幸せそうなジェシー見たら、俺も嬉しくなれたから。

俺のせいで、お前の楽しみとか、幸せとか、全部ぶち壊されんの、ぜってー嫌だから…。
うぅ…。」










ジェシー
「ユーゴ、、、泣かないで、、、

僕のことはいいんだから。
君が無事に人間界で暮らしていられたらそれだけで幸せだから。




僕が最後に見る君は、
いつものかぁーいい笑顔がいいな。」











ー膝から崩れ落ちるように座り込んだユーゴを支え、抱きしめた。
うっすら筋肉の付いた細い身体が震えてる。




ユーゴの心は凄く強い。だから誰に対しても優しく出来るし何をされたって最後には許してくれる。


でも、優しいが故に周りの人のことを人一倍考えて、たくさん傷つき、悲しんでいる。
そしてそれを誰にも見せようとしない。







ねぇ、ユーゴ。

君は1人じゃないんだよ。

君が楽しそうな僕を見て嬉しくなるのと同じように、
君が傷つくときは僕もつらい。

ねぇ、僕たち、なんでこんなにつらいんだろう。








ジェシー
「ねぇ、ダディ。
僕たち、なんでこんなに我慢しているの?

僕たちがこんなに傷ついて、こんなに悲しくて、こんなにつらいのに、なんでダディは1つも我慢してないの?

1つ1つ、よくよく考えたらおかしいことばっかりなんだよ。

なんで他大勢の魔物が人間界に悪さしに行ってるのに、悪さを取り締まってる僕が人間界に行っちゃいけないの?

なんで僕が人間界に行ったらユーゴが殺されなきゃいけないの?

なんで僕たちが結婚したらユーゴは人間界に帰れないの?

なんでユーゴは僕の家族と暮らすことになるのに、自分の家族には二度と会えないの?

ほら、意味わかんないことだらけじゃん。
だからさ、今回のことはなかったことにしよう。
悪い夢を見ていたってことにして。

僕たちは一緒に人間界に戻る。
ユーゴのツラさは僕のポジティブ魔法で消しておくから。

それで、年に1回くらいは魔界にも顔出すから。
王位継承はしないけど、そのくらいはするよ。
それじゃ、ダメかな?


それと・・・僕の大切な人を悲しませるのはコンリンザイやめてほしい。

僕の大切な人を悲しませたら…
僕は、たとえ相手がダディだって許さない。」




















ーダディは少し考えていた。そして




魔王
「わかった。いいだろう。」












ジェシー
「ダディありがとう。
今度はちゃんと、来年帰ってくるから。
国王誕生日のパレードの日に来るね。」






魔王
「そうか。待っている。」











ーダディは1つ深呼吸したあと、話し始めた。








魔王
「マサヤ、お前はどうして父さんが1つも我慢しないのかと言ったな。」







ジェシー
「うん。言ったよ。」







魔王
「お前たちの意見を蔑ろにして私の意見を通す、それは私が国王だからだ。
この国は絶対君主国家だ。
国王は絶対だ。
国の仕組み通りに私は発言し、通しているだけだ。


お前がそんな国家が嫌いなら、言うことを聞きたくないのなら、お前が国王になるがよい。
そしてお前の思い通りにすればいい。
魔界の政治、法律は全て魔王が決められる。

絶対君主が嫌なら、お前の代で絶対君主を無くせば良いだけの話だ。
お前が国王になれば、お前の嫌なことは全て変えられる。

国王になりたくないということは、それができないということだ。」











ジェシー
「ふーん。そうなんだ。考えておくね。」






















ー僕はユーゴと手を繋いで部屋を出た。

あー、そういえば最近手を繋ぐときはずっと貝殻繋ぎだったな。

こんなことしてたら恋人と間違われちゃうね。

ユーゴごめんね。














ジェシー
「さぁ、人間界に戻るよ。

目、瞑って。僕から手を離さないでね。」











ユーゴ
「ん。」


















魔王
「マサヤ、お前は私の強大な魔力を強く受け継いでいる。

国政に対する考えもお前は強い。

だから、お前はこの国をより良いものに変えられる筈だ。

次期国王に適任なのはお前しかいない。」




































ユーゴ
「んん…。

ジェシー…?

着いたぁ…?まだぁ…?

目開けていい?」





















ユーゴ
「あ、夢かぁ…。」









相葉ちゃん
「ユゴちゃんおかえり〜💦

もぉ〜心配したよ〜。

戻ってきて安心したのか、今度はジェス君が寝ちゃったし。」











「良かった〜。
ごめんな、俺たち結局何にも出来なくて。

ただ寝顔見てるだけしか出来なくてつらかった!」













ユーゴ
「すいません。
そんなに寝ちゃってましたか?」
















ジェシー
「ユーゴ」



シンタロー

「ユーゴ!!!

やー良かった!

目が覚めた!!

心配したんだぞ

オイ!」













ユーゴ
「シンタローうるさい💧


寝起きの頭に響くわ〜。
耳割れそう。



お前にも心配かけたんだな、ごめんな。」










あのさー、ジェシー。
俺さ、なんか変な夢見たわー。


妙にリアルだったし。」










ジェシー
「AHAHAHAHAHA!!
僕もだよ〜!」













ユーゴ
「あ、ジェシー・・・!!




ちょっと待てよ!!








おい、その腕!







そうだ!
ジェシー、さっき夢の中で同じところに怪我してた!







あれ、本当に夢だったのか?」













ジェシー
「…ごめんね、夢じゃないよ。

ユーゴはね、ユータの魔法で眠らされていたんだ。

それで、身体が眠っている間、魂は魔界に行っていたんだよ。


だからあの夢の内容は、本当。
今まで秘密にしててごめんね。」












ユーゴ
「さっきのジェシーは?









ジェシー
「魔界でユーゴのこと助けたジェシー?」







ユーゴ
「うん。

本物なの?だから怪我してんのか?」









ジェシー
「本物のジェシーだよ!
君を助けたくて、100年ぶりにお城に行っちゃった!」











ユーゴ
「夢じゃなくて?本当に?」








ジェシー
「うん。本当!」











ー夢の中での出来事のように、どんどん記憶がぼんやりしてしまうだろうから、今日は改めて全て話してしまおう。











(続く)

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