㉑小話〜魔界送り

※これはフィクションです。登場する人物、場所、団体等は実際のものとは一切関係ございません。

あらかじめご了承ください。

(ガサガサ、ガサガサ、)

ユーゴ

「あれー、おっかしいなぁー。」

俺のお菓子がなくなった。

毎日少しずつ、大切に食べていたのに。

おかしい、明らかにおかしい。

昨日最後に食べたときにはまだ半分程度は入っていたはず。

アンパン男のチョコ、アンパン男グミ、うまい棒のコンポタ味…

大切に、大切に取っておいたはずだから、なくなるわけがない…

それなのに、お菓子入れにしてた缶の中には1つも入ってない…！

違うところにしまった？

前は1日3食お菓子だったから引き出しを一つ全てお菓子入れにしていたけど、相葉さんと約束してちゃんとごはんを食べるようにしたし。

健康診断で隠れ脂肪肝が見つかっちゃったのがショックだったから。

食べる量を減らそうとして入れ物を小さくした。

しかも、ジェシーと一緒に暮らすようになって収納スペースが欲しくなったから、その引き出しはもう他のものを入れている。

(ガラガラガラ…)

ほら、勿論ここには入ってない。

ジェシーのお花図鑑と、プランターに植えて残ったお花の種が少し入ってるだけ。

寝ぼけて食べたかな？

でも、ゴミ箱の中には無くなったお菓子のパッケージは入ってない。

キャベツたろぴ、蒲焼き様たろぴ…。

これは昨日食べたやつだ。

今日は缶・瓶・ペットボトルの日だし。

ジェシーが飲んだウイスキーの酒瓶、スゲー酒臭ぇからニオイ嗅いだだけで酔っ払いそう、と思いながらゴミ出しした。

だから、間違って出したわけでもない。

あと、勿論だけどジェシーはゴミ出ししない。

何故なら…

ごみ収集カレンダーが読めないから。

あいつ、漢字苦手なのは今も健在だ。

燃えるゴミ、燃やせないゴミのこと何て言ったと思う？

@回想

ジェシー

「えるゴミ…える…。

これ、多分もえるだね？

こっちは…やせないゴミ…太るってこと？

トンカツのお惣菜？プロテイン？

プラスチックか！！」

＠現在・ユーゴは語る

だってさw

絶対ゴミ出しさせてやんねぇwww

と、いうことで。

俺の大切なお菓子の捜索はまた振り出しに戻ってしまった。

あのお菓子たちを食べたのではないとしたら、どこにいってしまったのか？

大体のことは妖怪のせいだって、何年か前にアニメの歌が流行って、どの歌番組見ても流れてたし、どこに出かけてもあの曲流れてたよな。

俺、見習いとはいえ魔物退治に関わってるし。

魔物寄り付くフェロモン？よくわかんないけど出てるらしいし。

妖怪のせい？？？

いや、まさかそんなわけ…。

でも俺、何か無くしちゃった時なんかはほとんど見つけられてないからな。

まるで魔界送りにでもしてるみたいに…。

そうだ、これは妖怪じゃない！

魔物のせいだ！！

魔物の…。

でも誰が…？

横浜に帰ってきてからは一度も魔物に遭遇してないはず…

テレビで騒がれたりとかもしてないな。

お菓子を盗む魔物が現れたら、ウチなんかじゃなくてお菓子の工場やお店のお菓子売り場を真っ先に狙うだろう…。

そうなれば…

"消えたお菓子！

お菓子売り場に魔物が出没

各家庭に注意喚起へ"

そんなニュースされてたら俺は世界中の誰よりも食いついて見てるはずだ…。

家の中に侵入して、俺だけからお菓子を取り上げる魔物…

まさかそんな奴居な…。

(続)