のど飴戦士アイバチャンSeason11.5 【同じ空の下、紡ぐ物語〜小話集㊱】
㊱小話〜すれ違い
※これはフィクションです。
登場する人物、場所、団体等は実際のものとは一切関係ございません。
あらかじめご了承ください。
ジェシー
「HEHE、ユーゴ〜!ただいまぁ〜♡」
(バサッ!)
上着をソファーに置く
ユーゴ
「おいジェシー!
言いたいことは色々あるけどさぁ!」
ジェシー
「HAHA♡うれしい!僕も…」
ユーゴ
「晩飯食ってくるのはいいけど、いらねぇなら先に連絡しろよ!
お前の分作っちゃっただろうが!」
ジェシー
「ユーゴ、ごめん!
うーん、食べてきたんだけどユーゴのチャーハン食べたい!」
ユーゴ
「あー!無理して食わなくていいから!
お前最近また太ってきてるし!
チャーハン…俺の朝ごはんにしようかな。」
ジェシー
「えぇ〜。美味しそう…
ユーゴのチャーハン…」
僕が仕事をするようになってから、毎日こんな感じが続いてる。
いつもご飯のことでユーゴを怒らせちゃう。
晩ご飯いらないって連絡し忘れてユーゴが僕の分も作っちゃって。
しょうがないじゃん。
棟梁や最近知り合ったみんながお食事に誘ってくれる。
急な誘いが多いから、連絡が間に合わないことだってある。
せっかくのご縁を大切にしたいし。
いろんな人のいろんな話を聞くのがすごく楽しいし、勉強になる。
ほら、もっと人間界の人たちのこと知りたいから。
僕は魔界でも世間知らずだし。
人間界で遊び呆けるクソ坊ちゃんって、先週も週刊イービルに書かれちゃってたみたいだし。
あ、魔界の週刊誌ね。
魔界王室の情報を載せまくるんだよ。
イービル砲は本当に怖い。。。
そして、翌日の仕事終わりも…
棟梁
「ジェシー、今日も、いくか?」
ジェシー
「ハ、ハイ!行きます!
ユーゴに連絡します!
晩御飯いらないよ、」
棟梁
「そんな連絡しなくていいじゃん、
俺はママに連絡なんてしたことねぇよ。」
ジェシー
「え?そうなんですか!?」
世の中ってそんなもんなのかなぁ。」
愛する人に打ちはじめたメッセージは完成することなく閉じられた。
棟梁とお店まで向かっていると、
ホクト
「あら、ジェシーじゃない!?」
ジェシー
「あ、ホクト!
ここでどうしたの?」
棟梁
「知り合いか?」
ジェシー
「はい、友達なんです。
ユーゴの幼馴染で、僕たちと一緒にバンドやってたんですよ。」
棟梁
「あ!ガキの頃会ったことあるよな?
ユーゴとよく遊んでたピアノ弾く子だろ?」
ホクト
「はい。それ俺です!
覚えててくれてたんですね。」
ジェシー
「今日はここでどうしたの?」
ホクト
「仕事で東京来る用事があったんだ。
…ところで。
今日も晩御飯はいらないってことでいいのかな?」
ジェシー
「うん!
棟梁が美味しい焼肉屋さんに連れてってくれるんだ!Haha!」
ダイゴ
「ユーゴにこのことは言ってんの?」
ジェシー
「Hehehe、言ってない…。」
ホクト
「あー、またユーゴに怒られちゃうね〜。
ユーゴだって仕事初めたばっかで忙しいんだからさ、ご飯作るの手抜きたい日もあるでしょうよ。」
棟梁
「まぁ、いいんだ。
俺も言えって言われてるけど言ったことねぇからよ!」
ホクト
「あぁ…そうなんですね。」
棟梁
「お前も行くか?
すぐそこなんだけどさ。」
ホクト
「あ、俺は帰り遅くなっちゃうんで。
家で食べます。
明日も早いし。早く寝なきゃ。」
ジェシー
「(ホクト…知らない人とご飯一緒に食べたくないもんね。)
そっか、帰り気をつけてね。」
ホクト
「はいよ〜!」
ホクトは僕と別れた直後にスマホを取り出して電話し始めていた。
多分、僕の代わりにユーゴに連絡してくれてるのかな。
ホクトのおかげで晩御飯の支度に間に合ったらしく僕の晩御飯は用意してなかったけど。
ユーゴは口を聞いてくれなかった。
次の日の夕方。
僕は懲りずに連絡しないでまた外食。
(ピコン、ピコン) ⚡︎⚡︎⚡︎スマホの音
ジェシー
「あ、ユーゴ!!」
(ジェシー、昨日はごめん。)
(今日は晩御飯いる?)
(早く帰ってきてね。待ってる。)
どうしよう。
もう食べてる。
…なんて返事出来なかった。
棟梁のおごりでたくさんお寿司を食べて、帰りも駅まで送ってもらったんだけど。
駅前で、不思議な人に声をかけられた。
???
「あなた…。今大きな悩みを抱えてますね。」
ジェシー
「HE?」
棟梁
「あー、ジェシー。
この人はこの辺で有名な占い師だぜ?
八王子の母って呼ばれてんだ。」
ジェシー
「うならい?」
棟梁
「占い師…あのー、ユーゴの親父の仲間。」
ジェシー
「HAHAHA!
僕の難しいですよ!
2500年前に生まれたので!」
占い師
「それは難しいですね。
紀元前の生まれだとデータがないので。
手相くらいなら見れるかもしれません。」
僕は人生初の手相占いをしてもらうことになった。
ジェシー
「恋愛運が知りたいな♡」
占い師
「結婚線がすごい濃くて上向きですね。
今までに良い関係になった方はいるようですが、1〜2年前に知り合ってる方ですごく良い方がいるのでしょう。
こんなに良い線を見たのは占い師になって初めてです。」
棟梁
「もう50年くらいやってるだろ!?
マジで初めてなのか?」
占い師
「はい!
おそらくこんな線、見たことないですがアダムとイブの手相くらいでしょうね。
そのくらい良いお相手がいるんですね。」
ジェシー
「ハイ、一緒に暮らしてます!
だぁいすきなの♡」
占い師
「あなたは嫉妬深く、独占欲がかなり強いお方ですから、この運命の相手を絶対に手放したくないのでしょう。
多分100万回フられても自分が運命だと感じたら絶対諦めない、すごく諦めの悪い人のようですね。
ただ、人の嫌がることはしたくないのでグイグイはいかない。
押してダメなら少し引いてみる、相手の心変わりを待つ、といった駆け引きも上手に出来るようですよ。」
ジェシー
「そうそう!」
占い師
「その方の生年月日と血液型、お聞きしてもいいですか?
相性や関わり方のヒントがわかるかもしれません。」
ジェシー
「3月8日生まれの21歳です!
血液型はA型です。」
占い師
「お相手の方は、おっとりしててマイペースなようで人を気遣ったり、人に合わせた対応がすごく上手に出来ます。」
ジェシー
「すごい!何でわかるの??」
占い師
「誰かが喜んでいると自分も嬉しくなるし、困ってると自分のことのように悲しくなる。
身近に悩んでる人がいたら、解決するまで絶対一緒にいてくれるような、本当に優しい子なんですね。」
ジェシー
「全くもってその通りです!!」
占い師
「その代わり、自分が悩んでる時は我慢しちゃう。
どんなに信頼してる相手でも、助けてってなかなか言えない。
喧嘩したら折れちゃう。
自分さえ我慢しとけばいいと思って。
そんなことしても誰のためにもならないのはわかってても。」
ジェシー
「僕たちはこれからどうなっていきますか?」
占い師
「上手くいけばいいんですけど、今はちょっと良くない運気ですね。
お別れすることはないと思うんですよね。
相手の方がすごく我慢強いから。
ただ、相手の方が辛くなって疲れちゃったり、身体を壊しちゃったり。」
ジェシー
「HE…!!
ヤダ…。僕が守らなきゃ!!」
占い師
「この悪い運気を乗り切れれば、その後はしばらく安定するみたいなんですけど。
今はかなり危険かもしれません。」
ジェシー
「危険!?
僕はどうすればいいですか!?」
占い師
「最低限、お願いされたこととか、約束とかはちゃんと守ってあげてください。
あと、一緒にいて欲しいと思ってるときにはそばにいてあげてください。
あなたはユーモア線が見たことないくらいたくさんあるので、誰に対しても人当たりがよくて、こうやってよく外でお食事して、ということが多いと思うんですよね。」
ジェシー
「は、はい!」
占い師
「たまには恋人と一緒にいる時間を作ったり、2人で一緒にお出かけしないと。
あ、もしかして。
家にお子さんいらっしゃいますか?」
ジェシー
「あ、もうちょっと後になりますが僕の親戚の子を預かる予定にはなってます…けど…!」
占い師
「別れられないのはその子の影響もあるかもしれません。
その子がキーパーソンになってる可能性があります。
愛のキューピッドみたいな。
その子が家に来たら、3人でゆっくり家で過ごすのもいいかと思います。」
ジェシー
「あ…。
あの…。
実は今日、早く帰って来てって連絡があって…。
返事まだしてなかった…。」
占い師
「お代は結構です!
今すぐ行ってあげてください!
早く!!!」
ジェシー
「ハイ!ありがとうございます!
棟梁、今日はご馳走様でした!
失礼します!」
棟梁
「お、おう!
最終22:07だ!
時間ギリギリだから走れ!
気をつけて帰れよ!」
占い師さんも、棟梁も僕を早く家に帰すために手助けしてくれた。
けど、家に着いたら23時を過ぎていて。
ユーゴのことなら、もう寝ちゃってる時間だな。
(ガチャ…)
ジェシー
「ユーゴ、遅くなってごめん…」
(スヤスヤ…)
僕の晩御飯を作ってくれてた。
ユーゴも食べないで待っててくれてた。
…椅子に座ったまま寝ちゃってるじゃん。
僕は仕事をし始めてから家のこと何にもしなくなった、ってことは、全部ユーゴがやってるんだろうな。
ユーゴもお仕事してて、すごく疲れてるのに。
疲れて帰ってきて、急いでご飯作ってくれてるのに。
そういえば、ユーゴは外食のとき。
事前に決まってたら先に僕のご飯作って冷蔵庫に入れておいてくれてる。
急遽のときはご飯作りに一回帰ってきたり、何か食べてこいって言ってくれる。
ちゃんと僕のこと考えててくれてるのに。
僕はユーゴのために何もしてあげてない。
こんなに大切なのに。
もうユーゴには伝えられないけど。
今でも…
こんなに愛してるのに。
今じゃそれはただの言葉であって。
何も行動出来てない。
ごめん。本当にごめん。
ユーゴの寝顔を見てるうちに、
胸の奥がギュッと締め付けられるような感じがして。
(ぐすっ、ぐすっ。)
ユーゴ
「ん〜、ジェシー。おかえり。
あー、俺いつの間にか寝てた。」
ジェシー
「ユーゴ、ごめんね…遅くなって…」
ユーゴ
「え?
何があってそんなにボロ泣きしてんの?
俺の息止まってた??」
ジェシー
「君のこともっと大切にしたくて泣いてんの!」
ユーゴ
「なんかよくわかんないけど…。
俺もごめん。
昨日は口も聞いてやんないで。
昨日ホクトからは聞いてたんだよね。
お前が連絡寄越さなかったのは、棟梁の言うこと聞いてたんだよな。
お前は世間のことがよくわからないから、みんなの意見を尊重するんだよな。
素直なお前らしいよな。
ごめん、お前のことわかってたのに。」
ジェシー
「ユーゴは謝る必要ない!
ユーゴだって働いてて大変なのに家のこと全部やってくれて。
それなのにお願い聞いてあげなくて、約束破っちゃって。
僕が悪いの!!
ごめんなさい!!」
ユーゴ
「別に他の人と外食することに関しては何も怒ってないよ。
お前、人の話聞くの好きじゃん。
たださぁ、俺も仕事終わるの遅くなっちゃったり、すごい疲れてる時ってあるから。
ジェシーが居ないんだったらちょっと手抜きしたかったなーって思うことがあって。
ほら?俺、お前と比べたらそんなに量食わねぇだろ?」
ジェシー
「ごめんね…ごめん…。(ぐすん)」
ユーゴ
「わかったから、もう、そんなに泣くな!
もう怒ってないから!
えーっと。
俺はお前から離れて行かない!
心配するな!な?
あー、晩ご飯冷めちゃったな。
お前の好物のグラタン作ったのに…」
ジェシー
「ユーゴ、僕のために…
僕の好きなもの作ってくれて…
こないだのチャーハンもすごい美味しかった…」
ユーゴ
「ダメだ、今のこいつは何言っても泣く…。」
ジェシー
「チンしてくるぅ!」
ユーゴ
「あれ?
お前もしかして今日も食べてきたんじゃ」
ジェシー
「いっぱい泣いたらお腹すいた!
一緒に食べよ!」
ユーゴ
「そっか…げ!もう23時半!
こんな時間にグラタンは重すぎ…
俺は明日食べるわ。」
ジェシー
「重かったら僕に分けて、ね?
晩御飯食べないで寝たらお腹すいて目覚めちゃう!」
結局、外食でたくさん食べた上にユーゴ特製の特大グラタンを食べた僕はさすがに胃もたれしてしまったんだけど。
ユーゴと仲直り出来てよかった。
僕、占い師さんに言われて怖かったんだよ。
ユーゴがツラくなるのが何より1番嫌だって思った。
僕がちゃんと連絡しとけばよかったんだけどね!
HAHA!!
どんなにたくさん知り合いや友達ができても、僕にとって1番大切な人は変わらないなぁ。
命に換えても守る。
身体だけじゃなくて、心のことも守りたいんだ。
ユーゴは命まで賭けるなって嫌がるんだけどね。
それは僕の中のマイルールだ。
@翌日
ユーゴ
「うぇ、また吐きそう…」
ジェシー
「ユーゴ、死なないで〜。」
ユーゴ
「あ、トイレ。下からも出るっ!」
ダイゴ
「ツラそう…。食中毒。」
まさか、僕が命に賭けても守りたいと思っていた存在が、残り物のグラタンを朝に食べたがばかりに食中毒を起こすなんて…
思っても見なかった。
身体だけじゃなくて心も守りたい…
なんてカッコつけてたくせに!
まさか身体すら守れなかったなんて!
食べ物は常温のまま置いてはいけない。
その残り物を翌日加熱も不十分に食べてはいけない…
ユーゴは節約のために残り物はよく食べちゃうから、外食する時は絶対連絡して作りすぎないか冷蔵庫に入れてもらおう。
連絡は大事だ。
夕飯がいらないときは絶対に連絡しよう。
そして、人間の寿命は短いんだから…
もう少し大切な人との時間を大切にしよう。
そう、強く心に誓った。
ユーゴ
「ツラ〜ィ
おえーーーーー!!!!」
ジェシー
「ユーゴ!!!」
(終)
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