のど飴戦士アイバチャンSeason12 【第6話】
※これはフィクションです。
登場する人物、場所、団体等は実際のものとは一切関係ございません。
また、物語に登場するのど飴の名称は実在のものを使用していますが、効果・効能に関しましては実在のものとは異なります。
あらかじめご了承ください。
@横浜・ユーゴ達のアパート
スー…
スー…
スー…
zzZ〜
ダイゴ
-うーん…
あったかい…。
いい匂い…。
なんだか心地良い感触。
優しくて、懐かしくて、涙が出そう…
お母さん…?
まさか、そんなわけないよな…。
ぜんぜん覚えてないよ。
僕のお母さん。
どんな人だったんだろうな。
物心つく前に離れ離れになっちゃったし。
やっと会えたと思ったら死んじゃった…。
会いたいよ。
(ぐすん)
最期に会ったお母さんは…。
小さくて。
細くて。
シワシワで。
つらそうで。
すごく身体が冷たかった。
おじいさんなのか、
おばあさんなのか、
それすらもわからなかった。
元気なときのこと、何か思い出せればいいのに…。
(ぎゅー)
・・・・・・。
しまった…!
また寝ぼけてやってしまった…!!
何やってんだ、僕は。
今、隣で寝てるのはお母さんじゃなくて…
ユーゴくんだ…!!
どうしよう!どうしよう!
ユーゴくん起きちゃってるよね…。
今日は大事な試験なのに…!
こんなん毎日寝ぼけてやってたら絶対寝不足だよ!!
ごめんなさい!
ごめんなさい!ごめんなさい!
毎日こんなことして…。
せっかくご厚意でユーゴくんのベッドで隣に寝かせてくれてるのに…!
試験に影響出ちゃう…
(ポン、ポン)
ほらぁ〜、頭撫でてくれてるし。
完全に起きちゃってるよ…。
(トン、トン、トン、トン…)
う〜ん。
また眠くなってきちゃった…。
ス〜
ユーゴ
「いい子、いい子。おやすみ。」
ジェシー
「HEHE!」
ユーゴ
「シー!ぃま寝てるからぁ…。」
ジェシー
「aha、ごめぇん。」
ユーゴ
「ちょっと泣いてんだよね…。
こんなに毎日泣きながら俺に抱きついて寝てたらさぁ。心配だよね〜。」
ジェシー
「そうだね。
今まで大変だったんだろうな…
孤児だったけど両親の知り合いに拾ってもらった、って言ってたよね。
多分気を使って暮らしてたんじゃないかな?
ここ来てからもずっと遠慮してるみたいだし。」
ユーゴ
「いままでたっくさん苦労してた分、たっくさん甘えさせてあげたいな。
子どもは子どもらしく、な?
今日の試験に合格してヒーローになったらさ、ダイゴのご両親の情報手に入れやすいかもしれないから、絶対合格しなきゃ。」
ジェシー
「hehe、そうだね。
ぜったい、しあわせになるんだぞー。
僕たちがついてるからね〜。」
@その日の昼過ぎ…
(⚡︎⚡︎⚡︎ピピピー ピピピー)
⚡︎⚡︎⚡︎テレビ
「速報!
たった今入ってきたニュースです。
東京都渋谷区代々木の
『非営利組織 日本正義の味方機構』
通称ヒーロー協会で行われていたヒーロー候補生の最終試験中に魔物が乱入、多くの死傷者が出ている模様です。
繰り返しお伝えします。
ヒーロー協会でのヒーロー候補生最終試験に魔物が乱入、多数の死傷者が出ています。
詳細は分かり次第お伝えします。」
ダイゴ
「・・・・・・え?」
@兵庫・町内のキッチンカー
相葉ちゃん
「・・・・・・。」
⚡︎⚡︎⚡︎電話の着信音
相葉
「あ、はい。」
⚡︎⚡︎⚡︎シゲ
「アイバチャン!?
テレビ見てた??
ニュース速報。」
相葉
「あ、うん。
今お客さんいないからワンセグで見てて。
あの、なんかよくわかんないけど…。
ヒーローの最終試験で何かあったって。」
⚡︎⚡︎⚡︎シゲ
「俺もウソやと思った。
そんなわけ…って。
でも、ユーゴ君とジェシーになんかあったかもしれへんし。
連絡した方がええよな?」
相葉
「うん、一応おれからかけてみるね。」
(ピッ)
⚡︎⚡︎⚡︎発信
⚡︎⚡︎⚡︎
「おかけになった電話番号は、電源が入っていないか、電波が届かないところにあるためかかりません。」
相葉
「え…。もう1回…。」
「おかけになった電話番号は、電源が入っていないか、電波が届かないところにあるためかかりません。」
「おかけになった電話番号は、」
「おかけになった電話番号は、」
「おかけになった電話番号は、」
「おかけになった電話番号は、」
「おかけになった電話番号は、電源が入っていないか、電波が届かないところにあるためかかりません。」
相葉
「試験中だから電源切ってるのかな?
あ、じぇすくんは多分マナーモードとかにして電源切らないよね?
ユゴちゃんのシャッターチャンスは絶対に逃したくないだろうし。
機内モードにはしない気がする。」
⚡︎⚡︎⚡︎
「おかけになった電話番号は、電源が入っていないか、電波が届かないところにあるためかかりません。」
相葉
「なんか…胸騒ぎがする…。」
「まーちゃん!おーい!」
相葉
「たろちゃん!?」
シンタロー
「今ニュース見てさ!
ユーゴとジェシーに電話したけど繋がらないのよ!
社長に頼んで休み貰ったから今から横浜帰るんだけど!
まーちゃんも一緒に行こう!
あいつらのこと助けて!」
相葉
「うん、行こう!」
-大きな事件が起きてる。
それに弟子たちが巻き込まれていて、
その現場では死傷者が出ている。
…なんて、実感が湧いてなくて。
頭の中がフワフワしてる感じがする。
@飛行機の中
(スマホで地図を確認しながら)
シンタロー
「事件現場がここだろ?
渋谷区代々木、NPO法人日本正義の味方機構。」
相葉
「えーっと、代々木公園がここだから…
そう、ここ。
そうそう、ここに大きい病院があるの。
卓巳くんが務めてるところなんだけど。
シンタロー
「まーちゃんのはとこの先生の!
そういえばここ、前にみんなで検査に行ったぞ!
#Season9
#vsMr.ズドン
#戦闘後
あの先生、魔物関連の診療もしてるよな?
さっきネットニュースに、被害者は受験生と試験監督、応戦したヒーロー合わせて70人くらいって書いてあったし、あの規模の病院なら受け入れできると思う。
搬送されるとしたらここだな。」
相葉
「おれ、東京着いたらここ行ってみるね。」
シンタロー
「そうだね、ここ行こう!」
相葉
「あ、たろちゃんはこっちじゃなくて…
横浜のユゴちゃん家に行って欲しい。
もしかしたら帰って来てるかもしれないし。
そしそうじゃなかったとしてもダイゴくんが家で待ってると思うんだ。
あの子優しくて、繊細だから。
すごく心配して待ってると思う。
一緒にいてあげて。
それに…この事件が本物なら現場近くはおそらく危険だし、現場も病院も一般の人は入れないと思う。
前はそんな感じだった…気がする。」
シンタロー
「…おぅ、わかった!
まーちゃん、頼んだぞ!」
相葉
「たろちゃんも、頼んだよ!」
-飛行機の中の時間は作戦会議で終わった。
おれは東京の卓巳くんの病院へ、
たろちゃんは横浜のユゴちゃん達のアパートへ行ってみることにした。
@東京・帝都大学医学部附属病院
「生存者はここに搬送されてるんですよね?」
「ウチの弟子は無事ですか?」
「読買新聞です!現在の負傷者の人数は?今の状況を教えてください。」
(ガヤガヤ…)
病院関係者
「現在の状況ですが、まだお伝えできません。
後ほど防衛省から正式な会見があると聞いています。
こちらには集まらないよう、お願いいたします。」
相葉
「入れそうにない…。
あの子たち、大丈夫かなぁ?」
-病院前の慌ただしさを見たら、事件があったという話が一気に現実味を帯びてきて。
何でこんなことに…。
そうか、おれも悪いんだ。
おれが、あの子たち巻き込んじゃったんだ。
弟子にしなければ、あの子たちはここに居なかった。
元々回復系ヒーローなのに、最前線で戦うヒーロー育てるなんて無謀だったんだよ。
おれには何が出来るんだろう。
ヒーロー協会はこの近く。
そっちで手がかりを探してみよう。
何が出来るかわからないけど、何もしないよりは…。」
ヒーロー協会の受付
「一般の方の立ち入りはお断りしています。」
相葉
「あの、ヒーローです。」
ヒーロー協会の受付
「身分証の提示ありがとうございます。
大変、失礼致しました。
1級戦士のアイバチャンさんですね。
お疲れ様です。中にどうぞ。」
相葉
「ありがとうございます。
実技試験があったのは屋外練習場ですか?」
受付
「はい、そうです。
警察、自衛隊員、当機構捜査員が負傷者や遺留品の捜索中ですので、ご協力お願い致します。」
相葉
「わかりました。」
-屋外練習場は確かこっちだ。
20年くらいぶりに来た。
見慣れた室内。見慣れた廊下。
当時は全寮制のヒーロー養成所だった。
おれやヤッターマンはここで一緒に訓練をしてたっけ。
おれはあんまり覚えてなくて。
全部ヤッターマンから聞いた話。
2人で訓練を抜け出してお出かけした次の日、2人そろって風邪ひいちゃって。
訓練休んで寝込んでる間に。全員。
殺されてしまった。
事件のショック?なのかその辺の記憶を失ったらしくて。
ヒーローってことはすぐに思い出したから活動はしてたし、10年前には兵庫の魔物がたくさん出る町に移住もした。
そのとき一緒に来た翔ちゃんのことも、
ただの友達だと思ってたな。
まさかヤッターマンだったなんて。
#Season1の2話
今となっては、ほとんど記憶は戻ったけど。
そういえばあの日のことだけは未だに何にも思い出せなくて。
いつの間にか思い出したくもなくなってて。
1度も現場を見ることもなければ、あの時の魔物の討伐に協力しようとすることもなかった。
まさかあの時の魔物が…?
あいつを討伐してなかったから。
おれは何もしてなかったから。
そのバチがおれの大切な人たちに当たったの?
(ガチャ…)
相葉
「・・・・・。」
屋外練習場へのドアを開けると、
見慣れた場所が見慣れない状況になっていた。
(続く)
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