のど飴戦士アイバチャンSeason12 【第7話】
※これはフィクションです。
登場する人物、場所、団体、事件等は架空のものであり実際のものとは一切関係ございません。
事件をイメージするための画像があります。画質や色彩は調整していますが、苦手な方はご注意ください。
上記、あらかじめご了承ください。
@ヒーロー協会・屋内練習場
(ガチャ…)
(ギィィィィ…)
相葉
「…!!
なにこのにおい・・・!!!
きっつ…。」
-現場を見て、唖然とした。
事件の現場、屋内練習場は瓦礫や倒木が散乱し、あちこちに無数の血溜まりや手形が…
思わず目を塞ぎたくなる状況で。
血生臭さが現場の生々しさを際立たせている。
相葉
「こんなところにユゴちゃんとじぇすくんが…。
病院にいるかどうかわかんないし。
ここで手がかりを探すしか…。」
(ベシャ)
相葉
「あ…、足元気をつけないと。
入口付近の捜索は終わってるのかな?
何にも落ちてないから手がかりなさそう。」
-ただ、すごく両肩が重たい。
全身がゾクゾクと寒気がするし、頭が痛いし耳鳴りがする。
さっきまでは事件が起こった実感なんてなかったけど。
これは間違いない。
沢山の人の怒り、怨念、恐怖心…
一気に死傷者の存在を感じ始めた。
相葉
「多分、60人、くらいは居る…。
向こうに行けばまだいるかも。。。
現場にいたのは70人くらいって、
たろちゃん言ってたよね?
10人…それ以下しか助かってないってこと…?」
-東京に来て、
ユゴちゃんやじぇすくんが笑顔で手を振りながらこっちに向かって来て。
「相葉さぁーん!何にもなかったですよ!」
「もぉ、師匠は心配性だねぇ!
だぁーいじょうぶ!!」
…なんて言ってくれるのを期待していたのに。
そんなおれの想像はガラガラと崩れ落ちていく。
どんな気持ちでここにいたのかな?
怖かっただろうに、辛かったろうに。
痛かっただろうか、
苦しかっただろうか。
たくさんの犠牲者が出て、みんながおれの肩にのし掛かってる中ですごく、すごく不謹慎なのは承知なんだけど。
どうか2人には無事でいてほしい。
最悪こんなこともあるかもしれないって、内心どこかで思ってた。
おれの同期達みんな、ここで死んだって聞いたから。
2人を巻き込みたくなくて、弟子入りの話を何度も断っていたのに最後に受け入れたのは自分なんだよな。
やっぱりおれのせいなんだよな。
弟子を取り、師匠と呼ばれるのは自分だけでは心許なくて、ヤッターマンも巻き込んじゃって。
まだ若い2人が死んじゃったら…
自分のせいだ…。
ごめんね…本当にごめんなさい…。
お願い、どうか生きていて。
君たちの成長をもっと見たい。
話したいこともたくさんあるし。
聞きたいこともたくさんある。
また一緒にお出かけだってしたいし。
もっとバンド演奏聞きたいし。
そうだよ、君たちの恋バナが進展するかもしれないじゃん!
まだ若い2人なんだから、未来ある2人なんだから、思い残すことはたくさんあるはず。
それに、お家で待ってるダイゴくんは!?
今までずっと大事な人を失ってばかりだったんだよ!
その後の面倒はおれが見るとしてさ…君たちまで失ったら悲しむじゃん!
だってあの子…2人のこと大好きなんだもん!
・・・ごめんなさい。
もうそんなことも叶わないし、大切な人にも会えなくなってしまった人がこんなに大勢いるのに。
おれは可愛い弟子たちのことで頭がいっぱいで・・・。
1級ヒーローって、本当だったらここにいる警察とか、自衛隊員とか、捜査員の人と一緒にみんなの遺留品探したりご遺体見つけたりするべきなんだよね。
ダメだな。おれ。
ヒーロー失格だ。
こんなんじゃ誰も守れない。
「あれ?まさきじゃない?」
相葉
「あ、卓巳くん。どうしたの?
病院で診療に当たってたんじゃないの?」
はとこの卓巳先生
「ちょっと探し物に。
痛てて。
右肩脱臼してさ、整復したけど痛くて。
オペどころじゃなくなったから外回りに。
あー、ごめん。
生存者の話とかまだ誰にも言うなって言われててさ。」
相葉
「そうだよね。ありがとう。
肩大丈夫?そのクーラーバッグ?
おれ持つよ?」
卓巳先生
「ありがとう、助かる。
ここ来るの怖かったからお前いたら心強いわ。」
相葉
「おれ居てもさぁ。
被害者の方60人くらい?
肩に乗ってて、寒いし、頭痛いし、耳鳴りもして。
あんまりお役に立てないかも。」
卓巳先生
「相変わらず霊感強いな。
秘密にする必要なかったね。
お前の方が大丈夫じゃないけど💦
大丈夫、居てくれればいいよ。」
相葉
「わかった。」
卓巳先生
「わー、この辺まだ捜索終わってないね。
遺留品と遺骨がところどころに落ちてる。」
相葉
「え、この白いの、骨ぇ?」
卓巳先生
「そう。
これは豆状骨、手の骨だね。
すいませーん!
採取お願いしますねー。」
相葉
「この辺、気のせいかな?
何か変なモヤみたいなのが見える。
匂いもこの辺だけは違うみたい。
おれの霊感、なんか変だなぁ。」
卓巳先生
「言われてみたら確かに…」
相葉
「あ、本当に?卓巳くんもわかる?」
卓巳先生
「おい!まさき!
それ、多分霊感じゃない!
この辺くまなく探すよ!!!」
@回想
ユーゴ
「攻撃当たっちゃうけど。
治り早くてよかったー。」
相葉
「ユゴちゃんすごいね!
血が蒸発してる!
キレイに傷塞がってるし!
なんかいい匂いするし。」
@現在・ヒーロー協会の屋外練習場
相葉
「そうか!!
うん、わかった…!探そう!!」
・・・・・・。
ねぇねぇねぇ!
生垣の下、ケムリ多くない?
ちょっと覗いて…
あ、なんかキラキラしてる。
いー、よいしょっ。
ネックレスだ。
指輪が2つ通してあ…
あ!
これ、じぇすくんの!」
卓巳先生
「本当に!?あー良かった!!
これで…」
相葉
「???」
卓巳先生
「なんでもない!」
相葉
「よいしょっと。
モヤモヤして見えにくいけど…
内側に
Jesse loves Yugo.
って彫ってある。
間違いない、あの結婚指輪だ。
テ○ファニーの。
ん、取れない。
何か引っ掛かってる。
木の枝かな?
・・・・・・。」
卓巳先生
「まさき、どうした?」
相葉
「手だ。指が引っ掛かってる。
(手を握る)
あったかい…あったかいよ!
生きてる!
生きてる!
右手、、、
あ、バングルがついてる。
これは…ユゴちゃんがいつも付けてるやつ。
ってことは…。」
@回想
ユーゴ
「ベースの指弾きって、右手の人差し指と中指で弾くんですよ。最初はすんごい痛いんですけど、弾いてるうちに指にタコが出来て硬くなるから。ほら。」
(カチカチカチカチ)
机を指で叩く
ベース始めて7年、
こんなにカッチカチになったら痛くないんです。笑笑」
@現在
相葉
「人差し指と中指…
ベーシストのタコだ。
ユゴちゃん!
今助けるからね!!
ん、わっ!」
(べしゃっ)
しりもちをつく
相葉
「痛っ、思ったより軽かっ…」
-助けようと手を握って引っ張ったけど。
人間なら必ずあるはずの身体のずっしりとした重さは感じられなくて。
勢い余ってしりもちをついた。
でも、手は握ったまま。
相葉
「わーーーー!!
右腕…しかない。身体がない!」
-握りあっていた手は、愛弟子の切断された右腕だった。
相葉
「あ、あ・・・・・・。
ユゴちゃん、ユゴちゃんなんだよねぇ!そうだよねぇ!いや、でも違う人の腕かなぁ。不謹慎でごめんね!ヒーローなのに!!でも!でも・・・!いやだ、いやだ!生きてる!絶対生きてるもん!まさかあの子が死ぬわけないもん!
あ…。
なんか、記憶が…。
ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、」
(右腕を握りしめる)
卓巳先生
「まさき、落ち着いて!
ほら、ゆ〜っくり、深呼吸。
すー。
はー。
すー。
はー。
ほら、やってみて。」
相葉
「すー、
はー、
すー、
はー。」
卓巳先生
「そうそう。
ちょっと早いけど、上手。
じゃあ、そのクーラーバッグに。」
相葉
「え?」
卓巳先生
「ユーゴ君、良かったね。
師匠が君の右腕を見つけてくれたよ。
ちょっと寒いけど、もう少しだからね。
ごめんね。
ジェシーの大事なものと一緒だから、寂しくないよね。
(手に指輪のついたネックレスを握らせて、右腕をクーラーバッグに入れる)
さぁ、師匠!これ持って、行くよ!」
相葉
「え?どこに?」
卓巳先生
「病院だよ!」
@病院
「生存者に関する説明は致しかねます!
ですので一般の方はお引き取りいただいて…」
卓巳先生
「事務長、ちょっと通して!」
事務長
「先生、お疲れ様です。
あ、一般の方は…!」
卓巳先生
「大事なクーラーバッグを持ってもらってるの!一刻を争う!一緒に入れて!」
事務長
「はい、かしこまりました!」
相葉
「すいません、失礼します!」
卓巳先生
「入って!こっち!」
相葉
「え、ここは…」
(続き)
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