のど飴戦士アイバチャンSeason12 【第14話】







※これはフィクションです。
登場する人物、場所、団体等は架空のものであり実在のものとは一切関係ございません。
あらかじめご了承ください。












@病院ロビー









(ガヤガヤ…)











「ねぇ、あの人もしかしてさ!」
「そうだよ!あの人!」
「大スターがなんでこんなところに!」
「怪我でもしたのかな?」
「そんな不謹慎なこと言わないでよ!
日本の宝だよ!?
お見舞いじゃない?」












シゲ
(会釈)












「キャーーー」













相葉
「すごい大人気だねー!

さすが、J1のスター選手!」











病院内の人々
(重岡くん天才すぎて人間辞めたんじゃないかって思う)
(ほんとー、こんなイケメンにスポーツの才能与えないで欲しかったー!)








シゲ
「それが天才ちゃうくて困ってるなんて誰も知らへんやろな〜。

知ったらがっくしするやろなー。」











相葉
「魔力がなくてもサッカーが出来るように、おれの仕込み時間より早く練習始めてるのとかね。


まだあんな時間にやってるの?」












シゲ
「あ〜。せやな…。

もうやめたわ(笑)






あんな早朝練習は続かへん!
練習って、毎日続けることが大事やから!」











相葉
「そのほうがいいよ。
あんなに根詰めたら倒れちゃうから。」













シゲ
「そんなアイバチャンかて倒れるからお節介は程々にしとき。


毎日病院に泊まり込んでるんやろ?
ちゃんと休んどる?」











相葉
「それがねー。ちゃんと休んでるんだよ。
ヒーローの院内パトロールと、親族の付き添いって名目にしてもらって、フカフカのベッド借りてるの。

車の中で寝るより1億倍は快適だよ〜。」










シゲ
「車で寝泊まりしてるなんて知ってたらウチに住まわしたのに!

兵庫帰ったら

俺の部屋で寝ぇ!




ホンマ、こないだ聞いてビックリしたわ。
そういえば家に行ったことないと思ったねん。
まさか、毎日通ってたあのキッチンカーが家だったなんて!



良い匂いやから知らんかったわ!





…でも、目が疲れてんで?」










相葉
「え?そう?








・・・まぁ、ねぇ〜。








実はね、今回事件現場見たときにいろいろ思い出しちゃって。


おれさ、記憶喪失になってることも忘れてたんだよ。」









シゲ
「え?

アイバチャンが記憶喪失!?」












相葉
「もう20年近く前の話よ。


おれとヤッターマンが養成所でヒーローの訓練受けてた頃。





今回と似たような事件があってね。
前後の記憶全部飛んじゃったの。
そのあと少しずつ思い出していったんだけど、どうしてもその日のことだけは何も思い出せなかったんだよね。






おれの記憶上は寮の布団で寝てたはずなのに、
気づいたら病院のベッドの上にいたの。







事件のショックなのか、
風邪こじらせて高熱でうなされてたせいなのか。

そこもわからない状態だったんだけど。











その間の記憶をね、事件現場で思い出しちゃったの。









じぇすくんは同じ現場で記憶を失っちゃったのに、おれは思い出しちゃうなんて…
…皮肉な話だよね。







じぇすくんは一生懸命思い出そうとしてるのに、おれはああやってしてこなかった。
むしろ思い出さない方が幸せなんじゃないかって思ってたし。





おれ、本当ヒーローとしてダメダメだよね。








こないだもさ。
あんなに人がたくさん死んでるのに、自分の弟子たちばかり助かればいいと思っちゃったし。






2人が生きているのがわかって。
心の底からよかった、って思った。




全然良い状況じゃないのに。
本当だったらこの事件を起こした犯人を見つけて討伐しなきゃいけないし、その犯人をユゴちゃんは覚えてるはずだから証言とって探さなきゃいけないけど。





…まだ聞けないでいるんだよね。






あの凄惨な現場を目の当たりにしたせいで声が出なくなっちゃってるし。
思い出させたくないと思って。





おれ、もう潮時かな。
引退…しようかなって。」













シゲ

「・・・!!!

何言うてんの!?









アイバチャンは他のヒーローより優しすぎるんやないの?





身内の無事願うのは誰だって当然のことやし。
愛弟子が事件のショックで後遺症まで残ってる状況やったら、傷つけたくないと思うのも自然な気がするで。






俺は…。
ヒーローが魔物退治のためやからといって誰かを傷つけて良いとは思わんわ。
ユーゴくんが辛い思いをするかもしれへんのやったら、俺は相手がヒーローだろうと全力で止める。




俺でも止めるんやから、多分ジェシーやったらもっと本気で止めにくると思うで?






ヒーローは魔物退治する人やない。

みんなの生活を守って、みんなを幸せにするために魔物退治をする。






アイバチャンのヒーローとしてのスタンスはそこなんやし。
それは絶対変える必要あらへん。



そんなアイバチャンに助けられた人たちはむっちゃいる。





町の人たちが安心してあの町で暮らしてるのはアイバチャンのおかげや。


ニノとか淳太とかブンちゃんみたいに、人間に変わった魔物たちやってそう。


それに、俺と神ちゃんやて町内でダントツ魔物に襲われてるのにここまで生きてこれた。






魔物がおらん時やて、アイバチャンは勉強の話も、恋の話も、将来の話も…
全部聞いてくれた。




なんかオトンとオカンに話したくないなーって悩み事もこっそり聞いてくれた。






俺な、今むっちゃ幸せやねん。


俺が今こうしてここにいる。
冗談でも大袈裟でも何でものうて、アイバチャンのおかげやと思ってる。






せやからな。
アイバチャンは何も間違うてないって、
俺は、自信持って言えんねん。








アイバチャンがヒーローやめたらみんな困る。俺が1番困る。







ヤッターマンやて同期の相棒失うし。
のんちゃんやて未来のヒーロー構想考えるの難しくなるやん。
将来はヒーロー協会の戦わないスタッフになりたいって言うてんで?」












相葉
「シゲちゃん、ありがとう。
…なんかもうすっかり大人になったね。」










シゲ
「せやな、もう公園で遊んでた鼻垂れ小僧とちゃうねんで(笑)




って、あー!ほらまた泣く〜!
ホンマに昔から涙腺の弱いアンちゃんやな。」







相葉
「歳のせいだもん…」








シゲ
「いやいや、8年くらい前も涙脆かったで?







事件の真相については、もう大丈夫やなってときにユーゴくんから教えてくれへんかな?
今は怪我も後遺症もあって生活するのもしんどくて余裕ないと思うで?
ジェシーのことも心配やろ。


ユーゴくんもヒーローになるんやろ?
そこは任せていいと思うで?






ごめんな、もっと話したいねんけど、そろそろトレーニングに戻らな。
明日も試合やし。







試合終わったらまた来るわ。








最後にちょっと2人の顔見ていこかな。」









相葉
「そうだね。2人とも喜ぶよ。」








シゲ
「ジェシーは覚えてへんかもしれんけどw

刺激になったらええな。」











(バタバタバタバタ)









相葉
「HCUの方だ…。なんか騒がしいな。

あ、卓巳くん!なにかあった…」











ユーゴ
(ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、)









ジェシー
「ごめぇん!


逃げて、みんな逃げてー!!



ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、


やぁばい、もうダメだ…
理性が負けそう…。」









シゲ
「ジェシーが…ユーゴくん襲ってる…。


…まだ跨ってるだけか?
ギリギリの表情や…。」








相葉
「じぇすくん!ダメ!」












ジェシー
「わかってるんだけど…!!

…HA!あのときの退治屋さん!!」











相葉
(すごい力で突き飛ばされる)








ジェシー

「ごめんなさい!

ごめんなさい!」










シゲ

「アイバチャン!

大丈夫か!?




ジェシー、それ逮捕されるやつやん!
魔界の法律、あるんやろ?」











ジェシー
「婚外子法かい?あれは来月からだよね?






そこは大丈夫なんだけど…。









同意がないのに無理やりなんてシたくない…。









ユーゴ、ごめんね。」








卓巳先生
「あ、ダイゴくん!
面会に来たんだ!
ちょっと離れてて、今大変なところで…。」










ダイゴ

「ジェシーさん!

お願い!やめて!

そんなことしたらダメ!」








ジェシー
「あ、ダイゴくん。
もう限界だよ…
魔物の繁殖本能に勝てそうにない…。」









ダイゴ

「そうやって繁殖しても…


僕みたいな不幸な子どもが生まれるだけだ!



魔界の婚外子法と人間界の魔物排除の板挟みで親をなくす子が…」









ジェシー
「そうか…。僕は忘れちゃってるから…。
もう婚外子法は施行されてるんだ!


…ダメだね。そうだよね!
僕のわがままでみんなを悲しませるわけにいかない…。




待って、chuするだけ。
それだけでガマンできたら…



…だめそう、ヒートには逆らえない。」














ユーゴ
(nnnnn…)








ジェシー
「・・・・・!!


ん、なんか力が抜ける…。」











(バタン!)












卓巳先生
「いまだ!」








(スタッフ総出で取り押さえる)









ジェシー
(その場で意識を失って倒れる)








ユーゴ
(・・・・・・!!)







卓巳先生
「ジェシー、急にどうした?」










ユーゴ
(口を開ける)








相葉
「薬みたいな、白いのがベロの上に…。
あ!お口の中に薬を入れてて、じぇすくんに口移しみたいな…」









卓巳先生
「もしかして、ジェシーが言ってた

強い薬?


荷物の中にないからおかしいって言ってた。」








ユーゴ

[👍🏻]











ユーゴ
(服のポケットの中をいじる)









相葉
「あ、薬が入ってる!」








ユーゴ→相葉へL○NE
"魔物は性別によってはヒート?発情の時期があって、ジェシーは薬が手放せないんです。"



"緊急薬はいつも近くにあった方がいいし、
特に1番危険な状況になる可能性が高い場所がいいって。"

"それで2人で色々考えた結果、俺が持ってた方がいいってことになりました。"

"薬の効果は5分くらいだそうで、その間に安全な場所に移動させてと言ってました。"







ガラガラガラガラ…

(ベッドごと運ばれるジェシー)










卓巳先生
「ユーゴくんは処置室に行くよ。
さぁ、ズボン履こうか。」








ユーゴ
"なにもされてません。
しかもあいつまだ本気出てなかったし。"

"あいつの本気はスゴいですから
とにかくサイズが。"








シゲ
「あー、あんとき見たんやな!」









卓巳先生
「まぁ、魔物のことは知らないことが多いからね。」















シゲ
「でも、なんでこんなことに。
今までのジェシーやったら我慢できてたやろ?」








相葉
「あ、もしかして…あの時の…。


えーっと、発情期?


意識戻ってから、モヤモヤするって言って1回薬飲んでたの。

発情期かなーとかいって。




今までずっと、薬で止めてたのかもしれないね。
ユゴちゃんにも協力してもらってさ。







あー、おれあの時薬飲んでるの見てたのに。



おれのせいだ。
恋のモヤモヤを発情期と勘違いしてると思って。
勘違いしてたのはおれの方だった。」











(続く)

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